寒空広がる12月も色めき立つわけで、

年の瀬に向かってメインイベントを残した

せいかどこもかなり浮かれてる。

「ゆーきやコンコあられやコンコ降っても~」

兄ちゃんが大合唱している朝寒気で食事が

喉を通らなかった。

捻挫をした兄ちゃんではあったが仕事中の

事故に巻き込まれたことによって労災扱いになった。

藤永さんがよく説明してくれたお陰でよく分かったが、

事故を巻き起こしたのは相手方で青信号を手あげて

元気よく通行している兄ちゃんを飲酒運転した車が

突っ込んできて吹き飛ばされたのだとか。

どこからツッコミ入れていいのか分からない説明だけど、

とにかく兄ちゃんに非が全くないのは良い子に育てようと

健闘した両親のお陰かもしれない。

あの後、母さんやお兄ちゃん、大和さんまで心配して

電話をかけてくれたが事情を説明すると誰もが笑った。

そして、口を揃えるかのように言うんだ。

《父さん(朝陽)にそっくり》

笑い事じゃない。

仕事に行けない兄ちゃんは家にみの虫にでも

なりたいのか寝袋に入って動いてる。

何で、普通に養生出来ないのか疑問である。

お昼ご飯にお鍋にカレーを作って家を出る。

サユよ、あたしはもう灰になりそうだと

思いながら向かいの家に珍しく迎えに行くと、

修平君も学ラン姿で玄関に現れた。

「おはよー、修平君!」

「日和ちゃん、疲れがまるで顔に出てない。」

「ええ、引き締まった顔で良かったわ。」

ポーカーフェイスで良かったと初めて思った。

「そのマフラー使ってくれてるんだね?」

ボーダーのマフラーを巻いてる修平君は

コクりと頷く。

この間、作ってあげたのである。

「日和、ごめん。待った?」

「いいよー、ゆっくりで今日は早めに

出てきたから待ってる。」

「修平君と登校だー!!早起きは三文の徳だわ。」

「先、行くよ。」

「ちょっ、旦那。お待ちになって!」

相変わらず、冷静な少年だな。

朝から素晴らしいよ。