ウトウトしていたせいか、途中大きな虎に

追いかける夢を見た。

草原の中で縄文人のような格好をして、

気の槍みたいなのを持って裸足でとにかく

走っている世にも恐ろしい夢だった。

これは、悪夢だと思って何度も目を覚まそうと

したのに目が覚めない。

よっちゃんは気付かずに鼻歌なんか歌ってやがる。

何故、それが分かるって?

だって、よっちゃんの鼻歌が夢の中で聞こえる。

むしろ、テーマソングみたいになってる。

虎との睨み合いをしてる時にそんな

場違いな鼻歌が流れると戦闘態勢が崩れるわけで、

虎と何故か手を繋ぎながらフォークダンスしてる。

これは、夢だと思いながら虎とダンスを踊る

貴重な経験をしているわけで興奮が収まらない。

「・・・・むぐぐ、げへへっ」

「ん?ヒヨリン、寝言か?」

まさに、これはお告げの夢なのかもしれない。

史上稀に見るこの夢は何かの予兆らしい。

そうじゃなきゃ、こんな夢見るわけがない!

※しばらく、夢の世界で藻掻く日和に

お付き合い下さい。

と、虎が何かの鍵を握っているに違いない。

恐る恐るフォークダンス中でステップを

踏む虎さんの様子を伺う。

いや、何故かいつのまにか虎さんがタキシード着てる!?

どうした、あたし!!

な、何の予兆だと言うのよさ。

もしかして、これは美女と野獣ではないか!!

オホホ、あたしの美しさを買われるのかしら。

「ぐふふっ・・・・zzz」

「っげ、ヒヨリン怖っ。」

※ヘタレでビビる美男にも注目です。

いつの間にか舞踏会のようなところに

場面が変わっていてあたしもドレスを身に纏って、

まるで将来こうなってるのよとでも言いたげな

夢なのかなと思うと少しばかり心が痛んだ。

折角、みんなと一緒に居るのにこんな夢

を見るなんてまた災難が起きる予感だ。

出来れば、さっきの草原のようなところで

踊ってる方が良かったのになと思って、

ドレスを脱ぎ捨てて階段のようなところを

転がるように駆け下った。