日和には敵わないって改めて思ったもの。

かっこよかったんだから、本気を出すと

あたしの親友は何を仕出かすか分からないのが

びっくり箱みたいでしょ?

「どうしようもねえな。」

呆れて笑う顔を初めて見た。

こんなに綺麗に笑うんだと思うと、

一瞬怯みそうになった。

黒宮千治め、あんた何よ!

日和を困らせてばっかいるのはあんたでしょ!!

お汁粉まで作らせといて、あんたの家政婦じゃないんだからね!!

「サユリちゃん?」

馨君がどうしたのって困った顔を向けた。

「日和は敵に回したら一番厄介な子だと思わない?」

あたしですら心強いと思うもの。

日和はただ頭が良い子なんかじゃないんだから、

度胸と肝が据わったところは本当に頼もしくて

何かあっても跳ね返しちゃいそうでしょ?

「確かに、話を聞くからにはすごいことになってるね。」

「ヒヨリンの武勇伝になってそうだよな。」

「小さいのは身長だけな。」

「危ういじゃね~の、俺らの立場としちゃーね。」

「ひよこ・・・無理がある。」

「ヒヨリンは味方だもんな!!」

自転車に揺られる日和が気持ちよさそうに

眠っているのを見て何だかホッとした。

何だかんだ言って、日和はやっぱり強い子なのよ。

一度も表情を崩さず今回だって弱音は吐かなかった。

あたしがそれとも頼りないからなのかもしれないわ。

「俺らは・・・何があってもアイツの味方だ。」

オレンジブラウンの髪が太陽の光で綺麗だった。

それでも少しは認めてやってるんだから。

あんたたちが日和を幸せにするなら、

大事にしてくれるならそれでもいいかなって

これでもかなり折れてやってるのよ。

「上等じゃない!」

この先、何があっても味方で居てやって。

あたしだけじゃ足りない分だけ、日和を

幸せにするの手伝いなさいよ。

あたしばっかり幸せな気持ちを貰うのは

何だか不公平なんだからお願いよ。

そうしたら、もう少しぐらい認めてやってもいいわ。