自分たちが捜査をしてきたのに証拠は何一つ

出なかったというのだから余程捜査がきちんと

出来ていなかったのだろう。

「これは、生徒の部室で見つけたものだそうです。

彼らは、夏の予選大会で敗北をしたのが原因で

ストレスが貯まると犯行に及んでいたそうです。

以上、小娘の意見ですがきちんと調べてもらった

上で逮捕に踏み切って下さい。また、間違えて

もらっては困りますから。」

にっこりと愛想笑いを浮かべると刑事さんが

悔しそうに頭を掻いた。

「すまなかった、彼らはすぐに釈放しよう。」

「ええ、よろしくお願いします。それから、

今後一切疑いだけで行動することはおやめください。

証拠がない限り私は認めません。法的手段を

取っても構いませんからお覚悟を。」

ギリっと歯を食い縛る刑事さんを横目に、

「立花未依が私の母だと言うことをお忘れ

なきようお願いします。」

腰に手を当てて言い放った。

「えっ・・・彼女の娘・・」

「立花ってあの敏腕弁護士だった・・・」

すると、自動ドアが開いて真犯人たちを

会長たちが連れてきた。

「それから、家に父も捜査が行き届いて

いなかったことを遺憾に思っているそうですわ。

今後、家の生徒を無闇に連れ去らないでもらいたいわ。

学校の評判が悪くなってもあなた達に何の責任も

ないなんて理不尽な話だもの。」

「神代の娘まで・・・」

パッシっと片手でハイタッチを交わすと、

何だか心がスッキリ晴れた。

ゾロゾロと入ってきた真犯人たちと刑事さんが

署の中に消えていくのを見届けながら会長に

お礼を言うと大したことしてないわと言って

笑みを浮かべて帰って行った。

「ヒヨリン、マジかっけー。」

「俺、惚れそうっす。」

本当は若干噛みそうで心臓にも悪かったけど、

背中を押してくれた人たちを裏切るようなことは

したくなかったからきちんと言いたいことが言えたと思う。