意気込んで見たものの警察署なんて初めて来た。

交番なら言ったことあるにしても国家機関に

いざ喧嘩を売りに行くとなると緊張するものだ。

「日和、段取りは大丈夫なの?」

「すぐ、連れてくるはずだから署に入ろう。」

不良メンバーズは何だかビクビクしている。

よっちゃんもソワソワしてて緊張が高まる。

受付のお姉さんが不思議そうに目を瞬かせていた。

足を一歩踏みしめるごとに感じるのはみんなから

の期待と努力だったと思う。

待ったなしで、突き進むしかない。

「すいません、黒宮千治、有須川馨、華沢成、

湧井京、水谷慶詩、宇佐木雄哉、古河伊織の

無実を証明しに来ました。」

受付のお姉さんがポカーンと口を開ける。

「今ままで、傷害事件を起こしている真犯人は

別に居ると彼らを連れて行った人にお伝え下さい。

そして、彼らの釈放を一刻も早くお願いします。」

ペコリと頭を下げると、受付のお姉さんが

何の冗談かしらとクスリと笑った。

「笑い事ではありません、あなた方が捜査を

しっかりしないせいで彼らは疑われたのです。

ウチの大事な生徒を犯人扱いしたことは、

遺憾の意を表明します!!」

受付机をバシっと叩くとお姉さんが困惑しながら、

受付のお偉いさんらしき人が署内に消えた。

しばらくすると、あの時みんなは連れ去った

刑事さんたちが顔を出してきた。

「君は、あの時の・・・・」

「この度は、失礼を承知で参りました。

傷害事件を起こした犯人は彼らに成り済ました、

東地区のとある学校の生徒でした。

生徒の身柄は今こちらに向かっているそうです。

彼らは、柔道部に所属する彼らとは体格の

全く違う人たちでした。被害者の証言と一致します。

それから、こんな物を見つけました。」

持ってきていた紙袋からオレンジやら金髪のカツラを

チラつかせて犯行に使ったと思われる血のついていたで

あろうバットをよっちゃんとももっちともっくんが見せる。

悔しそうにする大人の顔を見るというのは皮肉なものだった。