大切な宝物さえあれば何も怖くない。

「日和のこと大事にしなきゃあたしが

取っちめてやるわ。」

「またまた、頼もしいことを言いますね。」

「でも、気に食わないわ。」

「あたしもここまでする必要があるのか定かでは

ありませんが、やるからには必要事項ですね。」

少しすると、洋館のようなお屋敷が目の前に広がった。

「えっ、あの人お嬢様だったの?」

目を見開いて驚く、サユを横目にインターホンを

鳴らして待った。

周りの家は殆どなく、その風貌からも素敵な

お屋敷で思ったよりも大きくて驚いた。

「喋り方なども教養がある上品な方でしたからね。」

「あたしからすると日和も教養はある気がする・・・」

「あたしの場合は元々身についてしまっていましたから

彼女ほどしっかりしてませんよ。」

その内、覚えなきゃいけなくなりそうね。

『今、開けさせるからお待ちになってね。』

使用人の方がお屋敷に通してくれると、

アポイントを取っていた彼女がにっこりと

微笑みながら姿を現した。

「まぁ、よく来てくださったわ。お掛けに

なってお話しましょう?」

さすがに、緊張しているサユはソファーに

腰を掛けるとそのフワフワさに驚いていた。

「あら、永瀬さんも来てくださったのね。」

「あたしはこの子に着いて来ただけよ。」

「ふふ、いつでも来て下さいな。あたしは

貴女と喧嘩をしたいわけじゃないんですのよ。」

使用人の人がヨーロピアンなデザインのティーカップ

セットをテーブルに並べた。

コポコポと湯気の立つカップからはダージリン

のいい香りが広がって上質な紅茶を注がれた。

「香りがとてもいいですね。」

「立花さんはやはり気付いてくれると思ったわ。

最近入った茶葉でお客様に出したのは貴女方が

初めてなのよ。」

「そうなんですか。気を使わせてしまって

すいません。とても美味しい紅茶です。」

目の前で、お菓子を進めて来るのは知る人のみぞ

知る生徒会長なわけでさっきまで殺気立ってた

サユも紅茶を飲みながらあたしの様子を伺っているようだった。