今回も同じなんだろうと思うと何とも言えない対面だ。
「どうも、1人の女子高生に喝を入れられたみたいでな。
事件を洗い直してるはいいけど、証拠不十分もう少しの
辛抱ってとこじゃないか?」
「それって、・・・・」
「その女の子と対面してみたかったな。稜が随分と気に入ってる
って言ってるのを聞いて興味があるんだけど会えないかな。」
「ガッカリするから期待しない方がいいっすよ。」
慶詩は口が悪すぎだろ。
そこまで言うことないはずだけど、素直じゃないな。
「千治、稜も俺も今回は様子見だ。ガキ同士の喧嘩には
手を出さない主義だから早くまとめてくれよなー。」
「おい、警察のお偉いちゃんがそんなこと言っちまって
いいのかよ。」
伊織が机から顔を上げると眉を寄せた。
「お父ちゃんにそんな顔向けちゃうなよな。
寂しいもんだね、可愛かった息子が今やこうもトラブル
持ち込んでくると肩の荷が重いよ。」
親子揃って似てるような雰囲気だな。
伊織の親父さんは警視庁のお偉いさんで、
こう捕まりそうになると軟禁されるが牢屋に
放り込まれることは未だにない。
仲が悪そうに見えるが正直仲はいい方だと思う。
普通、警察に務める身でありながら息子が不良
であることで仲が悪くなる話はよくあるけど、
この親子は考えてることがさっぱり分からない。
おまけに稜さんと幼なじみだというのだから、
むしろ警視庁のお偉いさんにどうやってなれたのか
謎が多い分である。
「ところで、その女の子って美人なの?
暗くてよく見えなかったって証言だけじゃ、
女子高生っていうから若いんだろうけど。」
さすが、親子なだけある。
「っで、誰の女だったんだよ?稜から聞くには
そういう関係にはまだ発展してねぇと言うし、
益々どんな子なのか気になるな~」
呑気に話してる場合なのか。
大体、稜さんも何話してるんだか。
「チビだし、そういうんじゃないっすよ。」
慶詩が最中の包装紙を開けて口に放り込んだ。
パサパサしてるのかそれからしばらく喋れそうになかった。

