家に帰ると兄ちゃんが玄関でウロウロしてて、

扉を開けるといきなり飛びついてきた。

「ひーちゃん!!兄ちゃんは心配した。

ひーちゃんに何かあったと思ったら仕事どころじゃなくて

藤永に帰されたよ。」

ふと肩に乗る師匠と目があったら師匠の瞳が潤んでた。

ジョセフィーヌが助走をつけて混ざってきたので玄関で

家族に下敷きにさせられるところだった。

何とも恐ろしい家族である。

まず、心配していたのはよく分かるが下敷きで

あたしの生命の危機は心配ないわけなのかと尋ねたくもなった。

「藤永さんに迷惑かけたら駄目だよ。後で、メール送って

おかないと兄ちゃんいつまでそうしてるんだ?」

ただでさえ、兄ちゃんの飛びつきで心臓が飛び出そう

なほど驚いたのに・・そして、あたしのメンタルが!!

「だ、だって、ひーちゃんが幽霊だったらと思うと・・」

「何故、あたしを殺すのだ!!」

兄ちゃんの脳内であたし殺された!?

ま、まだちゃんと生きてるんですが。

「ニュースがすごいやってて・・ひーちゃんだったら

って思うと兄ちゃんは!!」

「大丈夫だよ、ちゃんとここに居るんだから

それに幽霊だったら兄ちゃんあたしに抱きつけてないよ。」

ホントに、兄ちゃんはあたしが好きなんだな。

「うん、だから帰ってきてくれて良かったって

大切なひーちゃんに何もなくて良かったって思う。」

くしゃくしゃに頭を撫で回されて抱っこされた。

「ちょっ!?や、やめろ馬鹿者!」

「ひーちゃん、何かあったんだろう?」

「えっ?」

それは兄ちゃんが戯て言ってるんじゃなかった。

相変わらず、勘の鋭さは馬鹿に出来ない。

「ひーちゃんのことなら何でも分かる。」

だから、兄ちゃんにはちっとも敵わない。

どんなに隠そうとしてもいつも見抜かれる。

普段のただひーちゃんて叫んでるだけの

妹馬鹿ではないのだから、本当に大切に

されていると思わざるおえなくなる。

「何でもないよ。」

「ほら、言ってごらん。兄ちゃんがどうにかする。」

兄ちゃんにあたしの嘘は通用しない。

言ってもすぐに見抜かれてさすがに

知り尽くされてるみたいで抵抗出来そうになかった。