よくこういう時はイケメンとか悪役とかが

なりそうな雰囲気だけど、とんでもない禿げた

おじさんがこんにちわ君の婚約者だよとか出てき

たらわ、笑える話になる!

これは慶詩も大爆笑間違いないんじゃないの?

ユウヤなんか顎が外れそうなほど笑いそう。

「日和ちゃんはお人形じゃないんだよ。

自分のしたいことだってあるんじゃないのかな?

日和ちゃんが責任を感じることもない。

もう少し考えて見てはくれないかな?」

「すいません、少しお化粧室に失礼します。」

ナフキンを椅子の上に置いて立つ。

伯父さんの気持ちはすごく嬉しいけど素直に

喜べないよ。折角、決めたことがガタガタ崩れて

いきそうで怖くなって席をたった。

パンプスは慣れなくて歩きづらくて、

歩調が上手く合わないなと思いながらレストランを

一度出て空気を大きく吸った。

重苦しい空気が痛いほど肌に伝わってた。

伯父さんはさすが父さんのお兄さんだけあって、

勘が鋭いというか見透かされてる気がする。

お化粧室を探しながら歩いている内に

慣れないパンプスを履いたせいか靴ずれが

出来て沁みた。痛くても涙は一向に出ない。

もう病気なんじゃないかな?

あたしの感情の乏しさはどうしたらいいの?

いつからこんな感じだったの?

どうして、あたしは周りと違って乏しいの?

自分が嫌になりそうだ。

全然理解出来ないあたしの悪いところ。

もっと素直な子だったらずっと楽だったに違いない。

ポーカーフェイスなんて大嫌いだ。

何でいつもそんな無表情な顔してんだ!

鏡を見てそう怒りたくなる日も来る。

化粧室に入ると相変わらずちっとも変わらない

ポーカーフェイスに苛立ちを覚えた。

小さい頃からのコンプレックス。

何であたしは周りのこと違って笑ったり泣いたり

怒ったり嬉しくなったりする喜怒哀楽を持ってな

かったんだろうか?