そんなこと絶対にさせないわ。
「仕方のないことなんだよ。それが事実なんだ。
事情を聞くだけだから君も早く帰ることだね。」
そうやって、疑われるたび傷ついて。
「分かりました。」
これ以上、警察に何を言ってもしょうがない。
諦めるってのはもうやめよう。
いつだって、そうやってきたなら今度はあたしがやってやるわ。
「だったら、宣戦布告です。もしも、真犯人を
見つけ出したらあなた方を訴えてやりますからお覚悟を。」
「えっ、日和ちゃ・・・ん」
「精々、今の内に後悔をするのですね。
これは立派な名誉毀損。社会的信用を失うことをして
ただで済むと思ったら大間違いですよ。」
と言っても、真犯人とかよく分かんないよ。
そんなの居るのか、あたし!?
ちょっと、悔しいからって大口叩いてしまった。
「それは、楽しみにしているよ。」
ドンっと肩を押されて地面に突き飛ばされた。
こ、これ立派な犯罪よ!
キッと睨むと、刑事さんの1人が悪びれもなく呟いた。
「ごめんよ、暗くて見えなかったもんで。」
分かってる、こんなの無謀だわ。
下手をしたって自分でも思うほどに頭に血が上って
こんな大口叩いて何も出来るわけない。
パトカーがフォンフォンと走っていくのを
ただ見つめることしか出来なかった。
みんな、あたしの目すら見なかった。
ナル君と馨君は一瞬心配して目を合わそうと
したけど、すぐに首を横に振って下を向いてた。
あたしを巻き込まないためだ。
そんなことされたって嬉しくないのに、
知らんフリするなんて酷いじゃないか。
「立花さん、君少し疲れているのだよ。
早く帰って彼らのことは忘れるんだ。」
副校長が職員室に足を運ぶ音だけが残った。
無残にも取り残されたのは無力なあたしだけだった。
みんなを守るって言ったのに守れなかった。
間に合ったのに、あたしの声届かなかった。
他に言ってやれることなんていくらでもあったはずなのに。
心に残ったのは無力な自分を嘆く不甲斐なさだった。
悔しさで胸が焼き焦げそうだ。

