目を覚ますためにも一度ビンタを食らわしてから、
部屋を飛び出して廊下を走った。
早く動け足って思いながらも足を休めることなく
動かして階段を駆け下りる。
校長先生ごめんなさい、今回は廊下を走らせて下さい。
罰ならきちんと受けますから今回は見逃して。
暗い校舎はあまりにも不気味だったのに怖いとは
思えないほど追い詰められていた。
「みんな、待っててお願い!」
祈る思いだった。
神様が居るんだったらこれからの幸運や運は全部
使い果たしたっていい。
だから、間に合って!!
正面玄関の方に薄ら見える人影に息を呑んで、
足を軽快に走らせた。
目の前に広がる光景は予測通りだった。
「はぁ~、しかし、お前らも今回の件は
覚悟を決めておくといい。」
副校長の憎たらしい顔なんてそっちのけだった。
警察の刑事さんなのかスーツを着た若い眼鏡を
かけた人が腕を掴んでいた。
周りに数人の警察に囲まれながら副校長が
ため息を吐いて困った顔をしていた。
「ま、待って下さい!!」
ゲホゲホ咳き込みながら正面玄関にたどり着いた。
「ひ、ヒヨリンっ!?」
「連れてかないで!!」
精一杯の懇願だった。
それしか言葉に出せないほど息が切れていた。
「君は・・生徒は下校するように放送を・・・」
「彼らは無実なのです。あたしが証明をします。
だから、お願いします連れてかないで下さい。」
頭を90度に曲げて最敬礼をした。
「立花さん!!何を言っているんだね。
君は早く帰りなさい。今、相沢先生を呼んで」
「あたしが!!」
「君は事件について何か知っていると言うのかい?」
刑事さんに鋭い視線を向けられて怯んだ。
こんなことで怖がってどうするあたし!
みんなが連れて行かれそうだって言うのよ。
どうにか、証明をして一緒に帰るんだ。
だって、みんなが戻ってくるのを待ってるって決めた。

