ゾワゾワ何かが迫り来るような感じだった。
落ち着いて紅茶を飲んでる場合じゃなかった。
「ど、どうしよう、みんなも帰るよね。」
帰り支度はもうバッチリしてある。
「うん、ヒヨリン送っていくからな。」
「明日、学校休みか。」
「ユウヤ、心なしか嬉しそうだな。」
不謹慎にもほどがあるぞ!
戯るような顔で悪いなっていうユウヤのお陰か
内心さっき見た光景は全部嘘だったんじゃないかって思ってしまう。
「ひ、日和っ!!」
ガラガラって勢いよく扉が開いて驚いた。
「さ、さーちゃんっ!!」
ひしっと2人で抱きしめあった。
良かった、サユに何かあったらと思うとどうしても
油断出来ずにさっきからソワソワしていたのだ。
丁度、マコ君と田中も一緒で安心した。
「日和、ごめんね。あんたのこと置いてって悪かった
と思ってるわ。あんた大丈夫?」
「う、うん。あたしこそ気が利かなくてごめんね。
あたしも一緒に追いかけてれば!!」
「いいのよ、あたし途中で撒かれて結局駄目だったわ。
マコと田中が来て戻ってきたけど、他の連中は?」
サユがキョロキョロ見渡して首を傾げる。
「あ、うん。ちぃ君と馨君と慶詩と伊織君は残って
警察にあたしが見た犯人らしき男の特徴を言ってるはずだ。」
「えっ、日和ちゃん顔見られたの?」
マコ君が顔を真っ青にさせる。
「ううん、背格好ぐらいしかサユがぶつかった人で
犯人なのかは分からないけど。」
だって、サユが追っかけた犯人らしき集団とは
真逆に走ってきた人だし、もしかして彼は第一
発見者だったのかもしれない。
「ごめんね、日和ちゃん。俺も一緒に居たら良かったね。
怖い思いさせて本当に男として情けないばかりだ。」
「そんな、マコ君は何も悪くないよ。」
マコ君、そんなこと気にしなくていいのに。
やっぱり、マコ君優しいから気にしちゃうのかな。
「いや、本当に後悔してるよ。」
頭を下げられて驚いてあたしも頭を下げた。
そしたら、サユに何であんたが頭下げるのよって
後頭部を叩かれた。

