いつもの部屋に戻ると誰も居なくなっていて、

まさに蛻の殻というヤツだった。

「あ、これは恐ろしい怪奇現象が!!

みんな、神隠しにあったのね。」

「ヒヨリン、今慶詩居ないから。」

ユウヤ、しばらくお前は黙っていろって言うのね。

しょ、しょうがないから黙ってあげます。

それにしたって、やりっぱなしのゲーム機といい、

食べかけのお菓子や飲み物も散らかっていて酷いありさまだ。

「みんな、帰ってきたら叱っておかないと駄目ね!」

ゴミ袋を机から取り出して食べかけのお菓子や空に

なった紙コップをまとめることにした。

いつもはちゃんとお片づけ出来る子たちなのに、

今日は不思議ミステリーに姿消してどこをほっつき歩いて

いるんだか。それにしても上條さんたちまで居ないって

何か未確認飛行物体を見つけたのかしら。

ユウヤが掃除機を起動させて食べカスなどを吸引していく。

さすが、吸引力が違う“ダイゾン”静かだわ。

何で、この部屋専用の掃除機があるかって?

ああ、それは馨君が綺麗好きで食べカスとか

見つけるとブラックオーラ全開で不良メンバーズ

に片付けさせるためだそうだ。

馨君、そんなに神経質ではないけど食べカスが

床に転がっているのがどうしても気に入らないとか。

テレビの真ん前に置いてあるゲーム機をお片づけする

ナル君きゃわいい!!

全く駄目だよなって言いながら片付けるナル君まさに

君は素敵なエンジェルに大変身だね。

「・・・ひよこ、そこ邪魔。」

「あ、あら、すまぬよ。」

京君もちゃっかりテーブルを拭いてスッキリしている。

どうも、みんな綺麗好きではあるらしい。

そういえば、何度かお邪魔しているマンションも綺麗

に整頓されていたような気がする。

あたしが暴れて倒してしまった本棚には大量の漫画が

散乱していて目を瞬かせながら順番に並べた。

「どこに行っちゃったのかな?」

さっきまでゲームしてたのにな。

あたしを抜け駆けしてみんなで遊んでるのかな。

な、何かそれって仲間外れっぽいよね。

ショックを受ける前にどうか帰ってきてもらえんだろうか?