あまりにも血だらけでそれぐらいしか確認できなかった。
スクールバックが無残にも転がっていた。
「よ、呼んでるって応急処置ぐらいあたしにも」
「おめぇでどうにか出来るようなもんじゃねぇよ。」
そんなの分かってるよ。
だけど、何も出来ないなんて嫌じゃないか。
「だ、だけども!」
「ヒヨリン、ヒヨリンは怪我してない?」
ナル君の腕が腰に回ったままギュッと力が加わる。
「してない!してない!むしろ、傷1つついてません。」
だって、犯人だって一瞬しか・・っ!
「みんな、来た時誰ともすれ違わなかった?」
サユにぶつかったあのオレンジ頭の・・・人。
「日和ちゃん、犯人の顔見たの?」
「えっ・・・そんなにじっくりは見てないけど、
特徴なら少しぐらい覚えている。サユにぶつかって
きた人が怪しいと思うのだが?」
「顔見られた?」
京君の声が聞こえるも表情が読み取れない。
「顔は見てないよ。背格好と頭髪の色と匂い
なら覚えてるけど・・それがどうかした?」
でも、急にそんなこと聞いて何だと言うんだ?
あの人、犯人だったのかな。
「それは1人だったか?」
「うん、えっ、でも反対の方に逃げて行った
方は足数が結構あったような・・複数人の犯行か?」
「お前はこれ以上首を突っ込むな。」
ちぃ君の声がやけに通っていた。
「駄目だよ、あたしがこの状況では第一発見者に
なるんだから警察に情報を提供しないと。」
「ああ、それはちゃんと伝えろ。けど、余計な
詮索するな。この件には絶対お前は出しゃばるな。」
ピシャリとちぃ君に忠告されている。
だけど、どうしてちぃ君何か知ってるみたいに
そんなこと言うんだ?
「あ、当たり前ではないか。ちゃんと本職である
刑事さんがズバット逮捕をしてくれるのにあたしは
何の役にも立たない素人だ。」
ちぃ君が言うまでもなくあたしは警察に情報を
提供したら大人しく童話を読んでメルヘンな世界で
生きていこうと思ってます!

