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大きく吸って吐いてを繰り返すと後ろからギュッと

抱きつかれて心臓が飛び出るほど驚いた。

「ぎゃっ、すいません。すいません。どうか、あたしに

とり憑くのだけはご勘弁を!!」

「ヒヨリン、何でこんなところ来ちゃったんだよ。」

「な、ナル君!?」

※視界が見えずに困惑しています。

視界を遮ろうとするものを取り払おうとしたら、

「日和ちゃん」

馨君がそれを取っちゃ駄目だよって言ってるような

気がして外すことが出来なかった。

「とりあえず、これは酷いな。ひよこのお嬢ちゃんには

見せるわけにはいか」

「伊織君もう遅いよ。見ちゃったよ。ひ、人が血だらけで

倒れてるの。動かなくて声届かなくて・・・あたしは

どうすればいいんだ?」

「もう少し可愛く泣きつくとか出来ないのお嬢さん?」

伊織君の馬鹿!!

そんなことは不謹慎だし、するか馬鹿だ。

手をブレザーにまた掛けようとすると、

「お前は見るな。」

ちぃ君の声で動きを止めた。

「で、でも、死んじゃう!!早く助けてあげなきゃ

血がいっぱいで・・・・命の危険に晒される血液

の量を遥かに越して」

「日和ちゃんは何も心配しなくていいよ。」

こんな時に何オドオドしてるのよあたしって

誰か喝を入れてくれないかな。

「さ、サユが犯人追いかけて・・・危ないっ!!」

「それは多分大丈夫だ。俺たちと同じように横山と

田中が来てた。」

「病院と警察も呼んでる。」

ユウヤも京君もううん誰一人取り乱してない。

ただ、みんな揃いに揃って額に汗が光ってる。

あたしはサユみたいに犯人を追いかける気力もなかった。

ただ、目の前に広がる光景が現実離れしていて、

目を覆うものがなければ吐いてたかもしれない。

こんなの刑事ドラマでもサスペンス劇場だって

こんなに血の海を作ったりしない。

誰がこんな酷いことをしたんだ。

一瞬しか見てないけど、ウチの生徒だった。

部活帰りだったのか3人の男子生徒だった。