あっと声を漏らしたのは上條だった。

「中塚、さっきのウチのひよこ姫との攻防見てたろ?

ウチのは生憎頑固で尚且つ負けん気強い上に、

腕っ節はそこらの雑魚とは比べ物にならねぇ~の。」

伊織、それ貶してるのか?

「すいません、時間取りました。」

さっきまでサユリンを連れてった横山が戻って

きたけど、サユリンが居ない。

「あれ、横君美人な彼女どうしたの?」

そういや、横山はサユリンの彼氏だっけか?

「あ、いろいろあって今は日和ちゃんと一緒です。

お手洗い行ってるのですぐ戻ってきます。」

いろいろって何が?

つうか、ヒヨリンいつまでトイレ行ってんだ。

「それならいいけど、彼女とイチャつく暇あるなら

女の子紹介してよ~」

ナルシストですぐに振られるから意味ねぇだろ。

「悪いっすけど、俺はサユに誓ってますから

女の子の紹介なら射場さんに聞いたらどうですか。」

「え~、射場の趣味が分からない。」

「じゃあ、何で俺に聞くんですか?」

「だって、横君の彼女美人だし、彼女の親友が日和ちゃん

でそのポジション俺に譲って欲しいよね。」

「無理ですよ、俺だって苦労してるんですから。」

「そういや、射場居ねぇな。」

慶詩がキョロキョロ見渡す。

「射場なら今日はウチで待機してるからな。」

上條より優秀な右腕と左腕っていうのが、

中塚と射場っていうのはよく聞く話。

それにしたって、遅いだろ。

もうかれこれ待ってるが女子だからって

時間がかかり過ぎだろ。

「マコ、さすがに日和ちゃんもサユリちゃんも

遅すぎやしないか。サユリちゃんに事情説明

しに行ったんじゃないか?」

蒼太が美男とゲームしていたのを中断した。

「いや、結局してない。サユは何も知らないし、

俺の勘が正しければヤバイかもしんない。」

横山の顔が急に真っ青になった。

そりゃ、少なくとも俺たちより横山や蒼太

の方がヒヨリンのこともサユリンのことも

知ってるだろう。