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said:ユウヤ
ヒヨリンがトイレに行ってからかなり時間が経ってる。
可笑しいなと思ってたのは俺だけじゃなかった。
「馨、ヒヨリン遅くないか?」
「ナル、女の子はいろいろ時間が掛かるものだよ。」
「だとしても、アイツどんだけ遠くの便所まで行ってんだ。」
慶詩、今ここにヒヨリン居たら突き飛ばされてたぞ。
その内、ナルがソワソワして落ち着きを無くす。
「ナル君、落ち着きたまえよ。」
「お前に言われて落ち着けたら苦労しねぇよ。」
「な、何てギャップだ!!可愛い顔して毒を
吐くとは中塚酷いと思わないか!?」
「上條さん、しばらくあんたは黙ってた方がいい。」
中塚、上條の扱い上手くなったよな。
最初は凸凹コンビでどうだか心配してたけど、
ちぃーは心配するな上手くいくとか他人事のように
言ってたけど、ホントに上手くいってる。
「ところで、最近出没する7人組は見つかったか?」
「それが、手がかりが1つも見つからなくて警察も
お手上げだそうじゃないっすか。」
そうだ、ヒヨリンが不服そうにさっきまでジタバタ
暴れまわっていたが、それがあるから今日はどうしても
ヒヨリンの好きにさせてやれなかった。
何故なら、今までの行動範囲と日付からして今日辺りが
ビンゴの予想を立てた。
最初は普通のサラリーマンが襲われて金を奪われて軽傷だった
この事件も犯行を増すたび酷い惨状になっていくと少し騒がれ
始めていたが、7人組の高校生が犯人だったと最近襲われた
男子高校生が証言したせいなのか警察につけられるようになった。
「しかし、あなた方は彼女に何も言わなくていいんですか?」
そりゃ、不良ってだけで警察とはよくおいかけっこで、
普段から慣れてることではあった。
だけど、そんな酷い事件を起こすほど反抗期でもねぇ。
今は何よりもヒヨリンのことで手一杯で、
事件沙汰になるようなことも本当になく、
平凡に過ごしてた矢先の事件となってはこっちも慎重になる。
何故なら、ヒヨリンを巻き込むことは絶対にしないって
決めた信念を貫き通すためだ。

