「それで、何でタワシ?」
タワシをバケツに出来るだけたくさん詰めた。
※掃除用具の倉庫に寄ってから来ました。
「これを投げれば痛いであろう!」
「そうだろうけど、あんた天才って言われる頭脳を
どこに置いてきたのよ。」
「ここにあるぞ!」
「もっといい武器捜しなさいよ。」
そういうサユも只ならぬ雰囲気を察しているのか
準備運動が念入りだった。
どうも、あたしとサユは親友歴を10年やってるせいか
同じような価値観というものを持っているみたいだ。
そのため、危険行くなと言われるようなところが
気になって入ってしまったり、駄目だっていうことを
どうしてもぶち壊したい精神らしい。
多分、ここにマコ君が居たら2人して叱られてる。
だって、マコ君は心配性で何よりもよくあたしたち
のことをよく知っている。
「マコに怒られるの覚悟で行かないとね。」
「サユには甘いから大丈夫よ。」
そして、何故か2人なら大丈夫という確証もない
自信を持っていた。
渡り廊下を歩いてる時点で少し嫌な予感がした。
ドクドクと脈打つ人間的危機センサーが反応したのだろうか。
「日和、大丈夫?」
顔色が悪くなっていたのかサユがギュッと手を
握ってくれて少し心強かった。
「いざとなったらあたしがあんたを守るわ。」
「そんな・・あたしめがサユに傷1つ付けませぬ!」
「何、心配してんのよ。あたしを誰だと思ってんのよ。」
最強スパービューティーな親友によって目が覚めた。
逆境を跳ね除けてこそ真に強いって言うんだわ。
トクンっと跳ねる鼓動を押さえて渡り廊下を過ぎると
体育館からバスケ部の部活をする姿が見えた。
ここまでは日常の情景で何ら可笑しなところはない。
むしろ、そのまま何もなかったように帰れば良かった。
そしたら、あたしは後悔せずに居られたかもしれない。
だけど、好奇心には勝てなかった。
そろりと忍び足でサユの後ろをついて行く。
ドキドキと未知なる冒険をしている気持ちだった。

