サユにギュッと抱きしめられた。

「うぇ!?」

「あたしがあんたの親友なんだからね。」

「ふふっ、当たり前だ。」

今のデレたさーちゃん可愛い。

見たかねマコ君!!

「ところで、日和ちゃん何で出てこれたの?」

「あっ、そうそう。お手洗いに行くつもりが

生徒会長と鬼ごっこをして遊んでしまっていた。」

「あんたが事の発端よ。」

ところで、2人はイチャイチャしていたのか?

折角、放課後こうして会えているのだものね。

「何よ、あんたその目やめなさい。」

「日和ちゃん、可愛い顔が・・・」

それにしたって何だか胸騒ぎがザワザワする。

変だな、悪寒までして・・変なの。

「あははっ、先に戻ってていいよ。

今、諸事情を済ませて来るゆえ!!」

「あ、俺は先戻ってるよ。」

「じゃあ、あたしは日和に付き合ってくわ。」

マコ君は苦笑いをしながら去っていった。

「さーちゃん、待っててくれるなんて優しいね。」

「たまにはあんたに構いたくなるのよ。」

そんなこと言ってツンモードでも可愛いなこの野郎!

諸事情を済ませ、水道で手を洗ってハンカチで

手を拭いていたら廊下が何やら騒がしかった。

「何?」

サユが不思議そうに顔を覗かせる。

「どうでした?」

「誰も居ないけど?」

何か只ならぬ雰囲気を感じる。

ここ1階の体育館に通じる渡り廊下が近くにある女子トイレ。

よく、行事などがあると来賓者専用のトイレとして

なるところだった。

「可笑しいですね、人の気配がするのですが・・」

「日和、あんたは引っ込んでなさい!」

「駄目です。サユ1人では危険よ。」

サユを危険なことから守らねば!!

しかし、何故か変な胸騒ぎがして寒気がする。

肌が凍りつくようなこの違和感は気のせいだって言うのか?

それとも、あたしの考えすぎなのか。

少なくとも、身辺を守る武器を持って居た方が良いかも

しれない。何もないよりはマシよね。