「怖い。どうしても足がすくむ。」
さっきの怯える京君を思い出して胸がぎゅっと痛くなった。
「女はどうしても信用出来ない。」
それが京君が初めて教えてくれた本音だった。
「それはあたしも入っていますか?もしも、
京君を怖がらせてしまっているならあたし
今後京君の前で着ぐるみを・・・」
「・・・ひよこは違うって分かってる」
「違うってあたしも・・・その立派なものは
付いていないのですが・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
だから、京君の眼力威嚇恐ろしい。
いや、下品なこと言ったつもりじゃないのよさ。
「真っ直ぐぶつかってくるひよこを疑おう
なんて思わない。」
「京君・・・・(´;ω;`)」
「ポーカーフェイスで表情が読みにくい。」
「鼻水が気持ちの表れだって気づきなさいな。」
だけど、京君こちらこそありがとう。
あたしの気持ちはいつだって一歩通行なもの
なのかなって・・・みんなに届くことはない
のかなって寂しく思うことだってあった。
「だから、信じてみようと思うんだけど?」
「京君の期待を背負っての出馬とのこと!
あたし全力を尽くして当選してみせます!!」
「・・・・もう好きにしたらいい。」
「あのね、あのね、京君!」
「ん?」
サラッと靡く灰色の髪が似合う王子様。
「だったら、あたしは京君を今度こそは守ってみせるよ。」
ふふって空中に笑い飛ばしてみた。
「そしたら、今度は絶対に京君に傷ついた顔させない。」
素敵なプリンスを期待に応えてお守りします。
「・・・・・・・・・・・・・」
「むふふっ、良い考えだと思いませぬか?」
「・・・・・時々、ひよこならって思うよ。」
「えっ?京君、何か言った?」
「・・・・余所見してると転ぶ。」
ドバーンっという効果音と共に床に垂直に倒れた。
またもや、ワンテンポ遅い忠告でしたな。
だけど、あたしまだまだ勝負には出れそうもない
ちんちくりんヒーローです。
少々、精進しないと力不足が祟ります。
―――だからこそ、いつか君にも届きますように
この想いに偽りなんてありませんとどうか伝わりますように