Hurly-Burly 4【完】


大和さんが車を回して来てくれる隙にエナメルの

パンプスに足を入れてダーリンに行ってきますをする。

どうやら、3人の彼女たちはそのまま掃除してくれるらしい。

すごく助かると思った。帰ってきたらぐったりして

何もする気にはならない気がした。

玄関を開けて大和さんが車を回してくれた助手席の

方に立ったら大和さんが爽やかに笑った。

「普通は後部座席に乗るものですよ?」

可笑しく笑う大和さんにちょっと恥ずかしくなった。

「う、うん、でもここがいいんです。駄目ですか?」

「好きになさって下さい。」

にっこりと微笑む大和さんにえへへと照れながら

助手席に座りなおしたら助手席の扉を閉めてくれた。

確かに、お嬢様って呼ばれる人たちは後部座席に

乗るものなんだろうけど、あたし別にお嬢様に

なった覚えはないしその言われようは痒い。

全然、お嬢様らしいわけじゃないのに変でしょう?

大和さんに言って行きつけのどら焼き屋さんで

菓子折りを用意させてそれを取りに行ってから

待ち合わせ場所である会員制のホテルに向かった。

滑らかに滑る運転はさすがのお手まいだった。

やっちゃんさんの車と藤永さんの車それから

ダディの車に乗るが一番安全運転だと思える。

空は雲がちょこんと出てるけど晴れで清々しい。

ホテルに着くとロビーで少し待たされた。

大和さんが駐車場に車を停めるのを待ったからだ。

「お待たせしました。」

「あ、はい。」

エスコートしてくれる大和さん以外はみんな

知らない人だから緊張してたまにパンプスで

引っかかりそうになった。

そのたび、大和さんに気にかけてもらって

申し訳ありませんという気持ちだった。

やっぱり、お金持ちばっかり居るみたいの

ホテルで、どっかで見た顔だなと思う政治家

の顔があったりと、あたしはとんでもないところに

足を踏み入れたんじゃないかと思った。

ドキドキと心臓が早くなって口から飛び出そうになる。

大和さんしか頼りが居ないから不安になるかなとも

思ったけど、さすがの大和さん。

安定感のあるエスコートで紳士に案内をしてくれた。

エレベーターに乗って最上階のレストランへ向かった。