お片付けが終わるとお手伝いに来ていた3人が
先に戻ってしまっていた。
料理研究部の方にきちんとお礼を言って退室する
ところまでは残れなかったようだ。
夕焼け色に染まる廊下は影が濃くて不思議と
世界が切り離されたような感覚だった。
静かな廊下に響くのは遠くから聞こえて来るような
外で部活をしている部員の掛け声とかでひと呼吸置いた。
ここ最近、ゆっくりしてる場合じゃなかったから
随分と体力を奪われたような気がする。
休日はジョセフィーヌと藍ちゃんにチャージルエネルギー
でパワー満タンにしてもらおう。
ふとそんなことを思っていたらポケットに入ってるケータイ
が小さく小刻みに震える感覚を感じた。
ポケットに手を突っ込んでケータイを手に伸ばす。
着信の相手は・・・・大和さん?
「はい、もしもし?」
『日和様、大変申し訳ありません。今、お時間よろしいですか?』
「えっ、あわわっ」
まさかのタイミングでお電話着ましたか。
それにしても、大和さんまだ日本に居るのかな?
あの後から全然会ってないよ。
『そんなにお時間取りません。それから、今は丁度アメリカに
戻ってきたところです。』
「戻るなら一声かけてくれても良かったのに!」
『急な仕事が入ったので本日中にと思いまして。』
ってことは、それまでは日本に居たんだね!!
「そっか、それなら仕方ないよね。」
いつも忙しい中、戻って来てくれることの
方が苦労かけてるだろうにそんなの顧みずに
本当に有能な秘書だ。
それにしても、何故あたしの心の声が分かるんだ!
『この間の件ですが、やはり社長は日和様に
思いとどまってもらいたいようです。3月まで
時間はありませんが、クリスマスのパーティーは
どうなさいますか?』
「そっか、クリスマスも一ノ瀬はパーティーが
あるんだった。でも、お断りしてもらえる?」
『ええ、貴女が仰るならば。』
「大和さんにばかり頼りっぱなしでごめんなさい。
このご恩はいつかお返ししますから!」
『そのようなお言葉勿体無いばかりでざいます。
私の最優先事項はあくまで貴女のことですから。
貴女は何も気にすることはございません。』
大和さんは出会ってからずっとあたしの味方で居てくれた。

