そろそろと料理研究部のナル君スマイルに倒れなかった
男子生徒が近付いてお皿を差し出された。
「こ、これどうぞ!!」
「わー、美味しそうなクッキーですね。」
通りでいい匂いがしてたわけだ。
バターの香りが広がってたものね。
「俺が食べてもいいの?」
ナル君の首傾げ攻撃に男子が顔を真っ赤にした。
うん、君たちの気持ちよくわかる。
この子無自覚にキュートさ振りまくものですからね。
女の子みたいだと思われても可笑しくないぐらい可愛い。
「是非!!」
男子にも女子にも効果的だということを検証した。
「ありがとな!」
ナル君の満面のスマイル頂戴しました!!
男子諸君の目もハートになりかけたところで、
ナル君に再度タックルされた。
「ぐほッ」
相変わらず、見た目以上の力を隠し持ってる。
「ヒヨリン、ヒヨリンッ!!」
子犬のようにも見えてきてしまった。
いけないわ、ここで妄想しだしたら収集がつかなくなるものね。
堪えるのよ、あたし!!そして、レベルアップするのだ。
グツグツ煮えてきた鍋からは甘い香りがしてきた。
後ろでハグをしているナル君からも甘い匂いがする。
「よしっ、ナル君そろそろ出来そうだからもっくん
呼んできてくれないかな?」
「分かった!ちぃーも起こさなきゃだな。」
ナル君がパタパタ上履きの音を立てながら家庭科室を出て
行くのを見送りながらお餅の準備をした。
「日和、すっかりナル君に懐かれてるよね。」
「ウフフ、ナル君のキュートさには苦労しました。
鼻血を出さぬようにと踏ん張りましたからね。」
「そ、そう。」
サユもナル君と仲良くしてくれるもんね。
ナル君、サユと文化祭で看板した時以来仲良くなったって
喜んでたんだよね。
「サユも一緒に行きますよね?」
お汁粉の入った鍋の火を切ってお椀に餅と白玉を入れた
ものをお椀にのせる。
もっくんにお鍋持ってもらおうかな。
お盆でもいいんだけど、人手不足だから人手が欲しい。
「うん、人員もう少し居る?」
ノートを閉じるとサユが首を傾げて聞いてきた。
「そうですね、手の空いてる不良メンバーズに人員要請
をお願いできますかね?」
お鍋・・・重すぎるんだよね。