次の日の放課後は予告通りお汁粉を作ることにした。

夢のせいか今日は一日中背筋が凍るほど寒気がする。

「日和、そこまでする必要があるの?」

家庭科室の隅の机で材料を広げるあたしの向かい側で

椅子を持ってきて座ってるサユ。

料理研究部の部長に頼んで家庭科室の機材と場所を提供

してもらうことに成功した。

「サユにはお餅を白玉にしますね。」

甘いものはそこまで好きじゃないサユでも、

永瀬家の正月では白玉入りお汁粉をマミーが

よく作ってたなー。

あたしにはって特別お雑煮作ってくれたマミー

の作るものは本当に何でも美味しかった。

お鍋を戸棚から取り出して洗ってから

買ってきた小豆を鍋に投入する。

「それとも、お雑煮にしますか?」

「お正月じゃないのに?」

「ほら、甘いもの苦手な子用の分も用意しないと

不公平ではないですか。」

馨君とか伊織君とか京君とか・・・だよ主に。

「日和って優しいよね?」

「ほ、褒めても何もあげないよ!!」

「いいよ、ここで数学の予習問題やっていい?」

「ええ、構いませんよ。」

ザーッと小豆が鍋にぶつから音がする。

「日和照れると可愛い自覚ないでしょ?」

「な、何を仰る!サユちゃんの可愛さに比べたら

あた、あたしなど豚と真珠の豚ですからに。」

「そんなことないわよ。」

そんなことがあるんです。

全く、サユは無自覚なんですか!!

マコ君が不安になったらあたしが全力で守り

通していると断言しよう。

彼女の身はこの私めがしっかりと!!

「最近、マコ君とはどうですか?」

「昨日は、マコの家に行ってゲームしてたかな。」

何とも、和やかなカップルだこと。

マコ君自体が和やかな気がする。

随分と、サユを大事にしてくれてるから

あたしも安心して任せられる。

来る別れの日が来てもサユの傍にどうか居てあげて。

寂しがり屋なサユにお別れなんて言いたくはない。