―――帰宅―――


結局、コンビニで手に入れたかった品を買って

帰る際も送ると絶対に引かなかったから何か

食べたいものはないかと聞いた。

「汁粉・・・」

「明日、作りますよ!」

汁粉は大量に作らないといけないじゃないか!

家の近くになると兄ちゃんが猛ダッシュで駆け寄ってきた。

「あー、ひーちゃん、無事で良かった!」

一体、この人何をしてそんな汗だくになった!?

「兄ちゃん、何してたの?」

「ひーちゃんが家出したのかと思ってだよ!!」

「書置き見なかったのか?」

「それを見たら余計に怖くなったんじゃないか!」

「とりあえず、落ち着け。」

兄ちゃんがふとちぃ君に視線を向けた。

「千治君と一緒だったならそう言ってくれれば良かったのに!」

「こんばんわ。」

「こんばんわー、千治君ひーちゃんを送ってくれてありがとう。」

兄ちゃん、恐ろしい執念だ。

経った少しの間にどこまで走ってきたんだろうか?

「・・連れ回してすいません。」

「いいよ~、千治君たちだったら心配ないから。」

えっ!?いいんかい!

あれだけ、心配してたんでなかったの?

しかし、ちぃ君謝れた!

謝る必要性が分からんが快挙だ!!

明日のトップ記事に載るね。

「千治君、上がってきなよ。」

ちぃ君が困ってるから兄ちゃん黙ってて。

「ちぃ君、すいません。この兄はあたしが引きずって帰ります。

上がってきますか?」

「・・・・・いい。また、来る。」

「はい、お待ちしてますね!」

兄ちゃんを引きずりながらちぃ君に手を振って

おやすみと叫ぶと背を向けて片手を上げた。



「あー、千治君と喋りたかったなー。」

「兄ちゃん、ドン引きだよ!」



黄色のゼラニウムの花言葉は“偶然の出会い”

赤いゼラニウムの花言葉“君がいて幸せ”



赤いゼラニウムの花が手の中に転がっていた。