Hurly-Burly 4【完】


その瞳が何故か寂しそうに揺れた。

「う、うん?あ、でも、お兄ちゃんはもっとまともだよ。

兄ちゃんは父さんに似てるところ多いからあんな人懐っこい

けど、お兄ちゃんはまだ落ち着いた感じで、父さんは話した

通りウザイぐらい変人!母さんはすごく綺麗な人らしい。」

ホント家の家族って異質なんだ。

でも、仲良しである自信はある。

遠い地に居るからかもしれない。

バラバラの地でも思いやりのある家族ではある。

いや、バラバラだからこそ団結力があるんだ。

「ちぃ君は稜さんに似ているよね?」

ちょっと、抜けてるところとか甘いもの好きな

ところとかその漆黒の瞳とか。

「そうか?俺はどっちかと言うとお袋に似てるって言われる。」

「そうなんだ!あ、でも稜さんが話してたよ。

ちぃ君のお母さん絶世の美女なんでしょ?

会ってみたいな!きっと、ちぃ君を産んでくれた人だから

優しい人なんだろうな。」

フッと笑みを見せるちぃ君に安堵してあたしも笑った。

さっきのよりずっとこっちのがいい。

寂しそうな顔させたくないなって思ったから、

たまにでいいから笑って欲しいな。

贅沢は言わないから気が向いたら見せて。

いきなり、顔をこねくり撫で回されてギョッとした。

「鼻水付いた」

どうやら鼻水拭いてくれたというかシャツ!!

「シャツのクリーニング代を払いますよ。」

「いらねぇー、寒いか?」

ポケットに手を突っ込んだちぃ君。

「ちぃ君の手はやっぱり温かいと思います。」

げへへと笑うとそうか?と首を傾げていた。

シャツを汚してしまってすまないと思ってたら、

全然気にしてなかった。

「わぁー、ゼラニウムが綺麗に咲いてます!」

少し興奮して通りがかった花壇まで誘導した。

「変な名前の花だな。」

「そうですか?色鮮やかで綺麗な花なんですけどね。」

「お前、花好きだよな。」

「はい、お花さんとお友達になれるものなら!!」

妄想の世界だけでもあたしはお友達になってやるさね。