「誰にも渡す気なんてねーよ。」
妖しく笑うちぃ君はやっぱり時偶色気があって、
言葉の意味を追求することさえ出来なかった。
突如、何を言い出すんだ。
そんなこと言って油断させようって魂胆なのね!?
真っ直ぐ見つめられると身動きを封じられた
みたいに体が動かなくなった。
「傍に居てくれよ。」
「きょ、拒否権は・・・」
「あるわけないだろ。」
マイペース過ぎるというか世界はちぃ君を
中心に回ってると勘違いしてるんじゃないか!?
「し、仕方ないな。」
「・・・お前、クソ可愛いな。」
「な、な、何を言うか!!」
※照れすぎて噛んでます。
オレンジ色にライトアップした噴水に、
ちぃ君の色だなとふと思った。
綺麗なオレンジ色の髪は質が良くて、
欠点が見当たらなかった。
敢えて言うならこのマイペースさは、
良くも悪いところだとは言えまい。
「どこ行くんだったか?」
「コンビニですよ。」
ふーんと言いながらついてくる気満々だ。
ベンチから腰を上げたちぃ君に続いて、
腰を上げるとちぃ君に手を掴まれた。
「あ、あの?」
「危ないから送ってく。」
「いや、あたしなんぞを襲う輩が
出てきた方が恐ろしい!」
「・・・いいから遅らせろ。」
また、強引さを出しますか!?
「では、よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げると満足したのか
歩き出して冷たかった手がちぃ君の
熱を吸収していくのだった。
「お前の家族ってあの兄さんみたいなのばっかなのか?」
ふと後ろを振り返って聞いてくるちぃ君と目が合った。

