Hurly-Burly 4【完】


人の顔で笑うなんて失礼な!

でも、笑ってくれるならいっか。

多少は多めに見てやる大人のスマートさ。

伸びっぱなしで格好悪くなったらどうしてくれるんだ?

「ちぃ君、明日お汁粉作りますね。」

「ヽ(  ´  ∇  `  )ノ」

喜びを表しているのだな。

喜んでくれると嬉しいなとは思ってたけど、

ここまで喜んでもらえると作りがいがあるというものだ。

「お餅は柔らかいのがご要望でしたね?」

お餅もバッチリ用意してるんだ。

あたしは食べないけど、作るの簡単だし兄ちゃんが好き。

あと、実は修平君がお汁粉好きなんだよね。

だから、よく作って食べてもらった。

人に食べてもらえるって嬉しいもので、

一人暮らしだと実に自分のために作るものだから

いざ人に作ると気合い入る。

「((o(=´ー`=o)(o=´ー`=)o))」

うん、すごく楽しみにしているらしい。

お汁粉が好物だとはちぃ君も変わり者だな。

ふと何かを思い出したかのように起き上がる

ちぃ君に目が点になった。

ベンチのしたからズイっと何を差し出してきて、

それが自分のスクールバックだということに気付いた。

こ、これ、ナル君が届けてくれるんじゃなかったのか!?

だから、ナル君電話で妙なことを口走って・・・。

そういや、好きって言われてたな。

あんまりなれない言葉で照れてしまう。

そう言うこと言われる経験なんてなかった。

「何、考えてる?」

ちぃ君が首を傾げて手を伸ばしてくる。

ま、またかい!!

次はその手に乗るわけにはイカンのよ。

に、逃げるべしあたし。

頬に触れるちぃ君の手はあの時と一緒で優しい。

こんなに温かい手だと落ち着く。

雨の日に泣いたあたしの願いを叶えてくれた。

鞄を両手で受け取って持っているとふわっと

髪を滑って撫でる優しい手にちぃ君を見つめる。