人の顔で笑うなんて失礼な!
でも、笑ってくれるならいっか。
多少は多めに見てやる大人のスマートさ。
伸びっぱなしで格好悪くなったらどうしてくれるんだ?
「ちぃ君、明日お汁粉作りますね。」
「ヽ( ´ ∇ ` )ノ」
喜びを表しているのだな。
喜んでくれると嬉しいなとは思ってたけど、
ここまで喜んでもらえると作りがいがあるというものだ。
「お餅は柔らかいのがご要望でしたね?」
お餅もバッチリ用意してるんだ。
あたしは食べないけど、作るの簡単だし兄ちゃんが好き。
あと、実は修平君がお汁粉好きなんだよね。
だから、よく作って食べてもらった。
人に食べてもらえるって嬉しいもので、
一人暮らしだと実に自分のために作るものだから
いざ人に作ると気合い入る。
「((o(=´ー`=o)(o=´ー`=)o))」
うん、すごく楽しみにしているらしい。
お汁粉が好物だとはちぃ君も変わり者だな。
ふと何かを思い出したかのように起き上がる
ちぃ君に目が点になった。
ベンチのしたからズイっと何を差し出してきて、
それが自分のスクールバックだということに気付いた。
こ、これ、ナル君が届けてくれるんじゃなかったのか!?
だから、ナル君電話で妙なことを口走って・・・。
そういや、好きって言われてたな。
あんまりなれない言葉で照れてしまう。
そう言うこと言われる経験なんてなかった。
「何、考えてる?」
ちぃ君が首を傾げて手を伸ばしてくる。
ま、またかい!!
次はその手に乗るわけにはイカンのよ。
に、逃げるべしあたし。
頬に触れるちぃ君の手はあの時と一緒で優しい。
こんなに温かい手だと落ち着く。
雨の日に泣いたあたしの願いを叶えてくれた。
鞄を両手で受け取って持っているとふわっと
髪を滑って撫でる優しい手にちぃ君を見つめる。

