その瞬間、グーンと伸びたちぃ君の手に驚いた。
男の人の腕だと思っているのも束の間のこと、
ポンっと置かれた手があたしの頭を撫でくり回された。
「お前、可愛いこと言うなよ。」
「ゆゆゆ、言ってない!」
「連れて帰りたくなるだろうが。」
その発言には待ったを掛けてもいいだろうか?
「ちぃ君、猫さん誘拐したら駄目だよ?」
猫さんには首輪があって鈴と鈴がなったと
思ったらしなやかにちぃ君のお腹から飛び降りて
花壇の向こうに姿を消した。
「・・・(´・ェ・`)ノ」
猫さんとサヨナラしたんだな。
うん、寂しくなったとは思うよ。
シュンとするちぃ君に何て声をかけるべきだろうか
と考えていると自然と手がちぃ君の髪を撫でていた。
「また、ちぃ君に会いに来てくれるよ!」
笑った顔また見れないかなと思ってた。
暗い夜でも分かるほど弾ける笑みを浮かべる
ちぃ君にドキドキと心臓が暴れだしそうになった。
「ちぃ君は笑った方がいいよ。」
「ん?」
「あたしはちぃ君が笑うの好きだよ!」
「・・・・・・・好きか?」
真顔に戻ったちぃ君に頷いた。
「みんなもきっと好きだと思うよ。」
星空煌く夜空を見上げると星屑が今にも
零れおちそうだった。
パッとちぃ君の髪から手を離そうとしたら
ギュッと掴まれてほっ?となった。
「どうかなされましたかね?」
「お前の手小さかったなと思って。」
「嫌だったら嫌ってちゃんと言ってね?」
気付かない内に不快な思いさせてないよね?
「もう少し撫でてくれないか?」
今日のちぃ君は最初から少し変だった。
「いいよ、特別出血大サービスです!」
むふふっと笑ってるとちぃ君に頬を
引き伸ばされて笑われた。

