この態勢を分かってるんだろうか!?
「どれだけ心配したと思ってんだ。」
「うっ」
そんなあたしに心配なんてしなくていいのに。
「ただでさえ、お前危なっかしいのに、
急に居なくなったら心配するのは当然だろ?」
「危なかっしいとは何だ!」
危なっかしくないもん。
心配するのが当然って何よそれ。
そんなの大切にする子に言うもんだよ。
あたしなんかに言ったら勿体無いよ。
「安眠してぇーな。」
そら見たことか!
絶対に可笑しいと思ってたんだ。
ムッ!何を言うんだ。
鼻水を垂らさないようにとギリギリのラインで鼻を啜ってる
あたしの苦労が分からん君にはな!!
「だから、あんまり心配させんなって言ったんだろうが。」
そんなの頼んでないよとは言えなかった。
言ってること滅茶苦茶なのに何でそんな真っ直ぐなの?
あたしなんて呑気に山盛りポテト食べてお喋りしてた
だけなのに、全然分かってなかった。
お昼寝が日課のちぃ君が眠れない日どんなにあたしを
心配して居たかなんて知る由もなかった。
「す、すまぬ。」
無神経過ぎたかな。
「言ったろ、次心配させたら離さねぇって。」
甘く囁く声に腰が抜けると思った。
すでに腰を下ろしてて助かった。
そんなの覚えてないよ。
だって、本気でそんなことすると思ってない。
ただの冗談話だとしか思ってなかった。
迂闊だった、あの時は何とか阻止してやるとか
言ったのに手も足も出ない。
それまでの抵抗する気さえ失せた。
きっと、刑事ドラマで犯人が最後に涙ながら
捕まる時の抵抗もせず両手を差し出す瞬間って
心から反省してるからなんだろうか。
あたしは一生懸命だった。

