小豆係長のせいだわ!
ちぃ君があれほど汁粉を食べたがるからだ。
今にも悪夢で魘されそうで恐ろしいことこの上ない。
仕方ないな、今何時かな?
壁に掛かった時計を見ると22時へと針が進みそうだ。
まだ、外出しても大丈夫だよね。
未成年が出歩いて良い時刻だよね!?
よしっ、しょうがあるまい。
兄ちゃんには置き手紙を残して置こう。
※お風呂場に行くのが嫌なだけです。
他に何か買うべきものはあるかなと冷蔵庫
を除くと牛乳も買い忘れていたようだ。
この辺近くにコンビニないんだよな。
コートを羽織って財布とケータイを持ち、
リビングに置き手紙を書いて家を出ると
寒すぎて家にユータンした。
「さ、寒っ!」
折角、お風呂入って温まったのに勿体ない
ことしてしまったな。
しかし、一度決めたらもう突き進むしかない!
意を決して外に飛び出すと晴れた空に暗黒が
広がるも散りばめられた星屑に透き通るような
澄んだ空気が余計に星空を美しくて見とれた。
マフラーを首にぐるぐる巻きにしながら、
夜にお散歩かと呑気にウキウキしていた。
こんな時間に出かけることなんてないからな。
父さんともよく肩車をしてもらいながら夜道を
星空観察しながら散歩したっけ?
父さん、言ってたな。
母さんに出会ったのは夜が溶け込むような時間だった。
ロマンチックな出会いなのかはよく分からないけど、
父さんが大事にしてる思い出だって良く呟いてた。
『ひーちゃん、お星さまって自分で輝いてんだよ。』
街灯が照らし出す中で見る父さんの姿はとても
夜が似合う人なんかじゃなかった。
『みーちゃんはお月様みたいに綺麗だろ?』
本当に好きで好きでしょうがないって顔だった。
どこまで、母さんが好きなのって聞いたら
無限大って答えるに決まってるんだ。

