ナル君、お茶目で可愛いわ。

『ホントはな、ヒヨリンに会いたかった・・』

「えっ?」

聞き取れずにもう一度聞き返すと明るい声で、

明日の教科を聞いてきた。

「科学からということであたしは気合が入ってます。」

実験は好きで科学反応とかそういうことが勉強

出来ることが何よりも楽しい。

『ヒヨリンって理数系?』

「ええ、一応はそうですが文系はすでにマスター済み

ですので分からないところがあればいつでも教えに

参じますからね。」

『ヒヨリンに会いたくなってきたじゃんか。』

「へっ?」

『俺、電話で我慢してるのに・・・』

「はい?あのすいません。故障ですかね。」

電話の調子でも悪いのかしら?

ナル君の消え入りそうな声が聞こえなかった。

『今日、ヒヨリンが居なくなって俺改めて

好きでしょうがねぇって思った。』

な、ナル君ッ!!

「あいらびゅーってヤツですかね?」

『うん、ヒヨリンにゾッコンだ。』

ナル君、この前から大胆過ぎる。

もうオロオロしてしまうではないか。

ケータイを落としそうなほど慌てていると、

『ヒヨリン、俺好きだかんな。』

恥ずかしげもなくナル君が囁いた。

何でこうときめくような言葉をあたしなんかにくれるんだ?

キュンと高鳴る胸を摩った。

「あわっ、ありがとうございます。そのような

お言葉を頂戴出来る分際ではないというのに。」

ナル君みたいなキラキラ可愛い男の子にこんな

愛の告白される日が来るなんて夢にも思ってなかった。

前みたいに冗談だなんて思ったりしない。

ちゃんと、ナル君の想いを知った。

冗談だなんて捉えたら失礼だ。

『もう好きすぎて病んだら看病してくれ!』

な、なんて可愛いこと言うんだ。

その技術あたしが盗人してしまっても良いだろうか!!

あ、あたしこんなこと言えないわ。

恥ずかし過ぎて噛んで自滅しちゃうね!!

ナル君だからこそなせる技のようだ。