・・・・・あぁ、木枯らしって風流だけど寒い。
冬の季節を感じる風景を自転車に乗った帰り道に
巡るわけでヒンヤリと冷たい風が体を攫っていく。
昼間はまだ日当があって温かいのに随分と温度差がある。
もうすっかり日も落ちて薄暗い空から一番星がキラリと
主張するように光り輝く。
そろそろマフラーとか防寒対策考えないと体調崩しそう
だから気を付けないとだな。
そういえば、兄ちゃんがマフラー作ってって言ってたし、
明日の帰りに毛糸でも買いに行こうかな。
マフラーと一緒に帽子も作ったりしようかな。
兄ちゃんが風邪ひくと面倒なことになるもんな。
一緒に、師匠とダーリンのマフラー作ろう。
どんなの作ろうかな?
げへへっ、ついでに本買いに行こう。
兄ちゃんの弁当にもう一工夫考えてるんだよね。
この時期は寒いしスープとか付けたいなと思ってたし、
クマさんのお弁当とかうさぎさんのお弁当とか可愛い
のが流行りだと言うし、そういうのも挑戦していかないと!
シャーっと道筋を走る自転車を漕いで家に帰る。
こうやって普通のことを考えてるだけならまだ楽しい。
どんどん家に近づくに連れて少しずつ自分を偽ってる
ような気になるのは何でだろう?
大好きな家に帰れるはずなのに駄目だな。
最近、悪い夢ばかり見るせいだ。
お陰で寝不足は続くし、落ち着かないよー。
今日だってナル君と馨君には心配されてたし、
幸いあたしがポーカーフェイスってヤツで
良かった気がする。
気付かれたくはないなこんなあたし。
すごく格好悪いから気付かないで欲しい。
星見るとナル君を思い出すな。
七夕の日のことはよく覚えてる。
ナル君の素直な気持ちを知ったからだと思う。
願い事が叶えばいいなって思ってる。
しんみりする雰囲気なのに鼻水だけしか
出ないからあたしは普通の女の子とは違うんだろうな。
だけど、あたしが進まなきゃいけない道。
意地は最後まで張り通すしかないんだよ。
誰でもないあたしが決めたことなんだから
・・・・・しょうがないんだよ。

