こんな世界に居れば悪に満ち溢れたヤツなんて

ゴロゴロそこら辺に居る。

いつだったか聞いた日和ちゃんのお兄さんが

日和ちゃんを天使だって言うの今なら分かる気がする。

罪は絶対に消えたりしない。

だからこそ、怯えられたり気持ち悪がられたり

することが恐怖になっていたんだろう。

認められるそれだけで何もかも違ってた。

悔やむ俺まで否定される気がして居たんだろう。

「やっちゃんさん、それは極道だから

付いた傷跡なのですか?」

瞳が揺れたような気がしたが、その真っ直ぐな

瞳に吸い込まれそうだった。

「違うよ、まぁ、組に居ればこんな傷つく

こともあるだろうけど、他の組よりかは

全然平和だしね。組に入ってからあんまり

怪我したことないからな。」

日和ちゃんは安堵したのかふわっとした笑みを浮かべた。

「よ、良かったです!あまり怪我して欲しくありません。

その・・・暴力団っていうのは暴力に走るそうなので

心配ではありますが、やっちゃんさん強そうですから

大丈夫そうですね!!」

一瞬、その笑顔に心奪われそうになった。

「・・・・日和ちゃん、今の。」

「はい?あ、でも、もしやっちゃんさんを苛める

ような輩が現れたら必殺パンチを繰り出して窮地

を救って見せますからね!!」

「そんな可愛いこと言わないでくれないかな。」

「は、はい!?」

天使の笑顔か・・・これはお兄さんに同感だ。

サングラスをかけ直すとイケメンですと日和

ちゃんが褒め称えるものだからポーズまで

決めさせられて大変だった。

「さて、スーパーはもう少しです!

しりとり再開しましょうか!!」

「スイカの名産地で止まったんだよね?」

「はい、次は“ち”からですよ。」

それから、日和ちゃんとやるしりとりは

俺の楽しみでもある。

実は、ターヤンにも羨ましがられているからな。

スーパーまでの道のりは話が尽きることはなかった。

じゃない、しりとりが尽きることはなかった。