Hurly-Burly 4【完】


―――――――・・・・・


自分のした行いのせいでこうなった。

だから、どうしてこうなったとは思わない。

ただ、人に見せるような代物でもなかった。

いつの間にかサングラスをするようになった。

それは、傷の手当をしてから2週間後ぐらい

経った雨の日のこと。

自分の情けなさに酷く後悔したその日に、

まだ小学生だった稜さんの息子だと紹介された

千治はやって来た。

稜さんそっくりな黒い瞳に黒い髪をした

これまた美形な小学生が居るもんだなと思った。

「矢部、ケーキ食っていい?」

稜さんがお見舞いの品として持ってきたケーキ

の箱をジッと見つめる千治が居た。

「坊ちゃん、お見舞いにケーキ食いに来たんっすか?」

そこには伊織の姿もあって千治と一緒に来たようだった。

看護師を見つけては声をかける。

アイツは大人になったらとんでもない男になりそうだな

と冷や冷やしながら伊織が出て行った病室で千治が

駄目かと残念そうに目を伏せた。

「食べてもいいっすよ、俺はそこまでケーキ好きな

わけじゃないけど、稜さん毎日ケーキ持ってくる

もんだから食べないわけにはいかなくて・・」

「ケーキ、嫌いなのか?」

「そういうわけじゃないですよ、ただ稜さんは

お見舞いの品がケーキって自分の食べたいものを

買ってきてるんじゃないかと。」

「多分、そうだ。」

「やっぱり、普通は果物とかなんですけどね。」

「そうなのか?」

「(この親子似た者同士・・・)はい。」

「親父に言っておく。」

「いいっすよ、稜さんのお見舞いの品結構

嬉しいっすから。」

こんな俺を見捨てずに拾って入院させて

もらって見舞いにも顔を出してくれた人だ。

「嫌なら嫌だって言わなきゃ親父は鈍いから

気付かねぇ。」

ケーキを箱から取り出して紙皿に2つずつケーキを

乗せると俺の方にフォークと紙皿を置いた。