Hurly-Burly 4【完】


そうか、日和ちゃんは最初から素でぶつかってた。

いつも全力投球でアイツ等全員に向き合ってる。

小さい体の割にものすごいパワーを秘めてる。

「日和ちゃん、頼むからアイツ等見捨てないでやって。」

「何を言いますか!!当たりまえなことを言わないで下さい。」

こんなに真っ直ぐだと自分の捻くれ具合に嫌悪する。

俺は日和ちゃんとは真反対な人間だ。

失望するような毎日を送ってきて今更何を言い訳

したところで自分が黒か白か問われて白だと完全に

言えない黒に染まった人間だ。

組に入ったことを後悔してるわけじゃない。

稜さんに拾われなきゃ今も俺は酷い人間だったはずだ。

千治の差し伸べられた手を握らなきゃ家族の有り難み

すら知らずに生きてきたかもしれない。

組に入る前の俺は最低過ぎて消したい。

罪滅ぼしが出来るならアイツ等のために

組のために何だって出来るとさえ思ってる。

「やっちゃんさん、無理しないで下さいね。

もし体調が悪いなら途中で降ろしてくれても」

「日和ちゃん、俺のこと笑わないでくれる?」

「へっ?」

「日和ちゃんを見縊ってた自分がすげー恥ずかしいや。」

それから、サングラスをそっと外すと日和ちゃんが

目を丸くして驚いた。

「そ、それ、どうしたのですか!?」

「あ、これ見て気持ち悪いとか怖がられたら

どうしようかなとは思ってたけどホント予想外な

発言するね、日和ちゃんは」

「何を言っているんですか?その傷、こちらの目は

見えて居ないのですか。」

「いや、微かには見えるよ。あんまり開けないけど、

見ようと思えばボヤける程度に。」

「どうして、あたしに?」

「日和ちゃんだから本当はこんなんだからって

言いたかったんだと思う。」

フルフル首を横に振る日和ちゃんは怯える

わけでも気持ち悪がることもせずに左目の

瞼にくっきりと残された傷に手を伸ばした。

「あの、触ってもいいですか?」

その問いかけには驚いて言葉も出なかった。

日和ちゃんの手がひんやりと冷たかった。