Hurly-Burly 4【完】


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said:矢部(やっちゃんです)



日和ちゃんが助手席に乗るのは夏休みの事件以来

だったと思う。

洋楽に合わせて鼻歌歌ってる陽気な女の子だ。

「やっちゃんさん、歯磨き粉のこです。」

「こ、コアラのマーチ。」

「随分可愛いものになりましたね。」

しりとりをしているわけだが、ブレない。

日和ちゃんとしりとりしてるだけで楽しい。

「あー、日和ちゃんコアラのマーチ食べれないんだっけ?」

「はい、絵柄は可愛いのですが残念です。」

日和ちゃんは確か甘いもの全般が駄目だったとか。

ウチの千治と大違いだな。

普通、女の子が甘いもの好きだろと思いつつ

変わり者の日和ちゃんは相変わらすさっきから

鼻にティッシュを突っ込んでいる。

いきなり、鼻血を出す女の子は知り合いに

誰一人居なかった。

今時の女子高生は普通に鼻血出すもんなのか

と考えるが日和ちゃん個人がそういう子なんだと

いうことにしておいた方が良さそうだ。

「ちですよね、知恵袋。」

どこからそのネタ掘り起こして来るんだろう?

日和ちゃんのしりとり返しが面白い。

「ロサンゼルス」

ピクリと肩を揺らした日和ちゃん。

「すですか・・・うーむ」

気のせいだったのか表情はいつも同様で

ポーカーフェイスで凛としていた。

初めて会った時から日和ちゃんは可愛いだけで

なくて芯の強さを感じさせる凛としたしっかり

した女の子だった。

「スイカの名産地。」

スイカの名産地といきなり歌いだそうとした

日和ちゃんに驚かされた。

「実は、ロサンゼルスに一番上の兄が

住んでいるのです。」

信号が赤信号になると日和ちゃんが窓の

外に視線をチラッと見る。

様になるその姿は外見を思わせないほど、

大人びているように感じた。