でも、逞しい勇姿を見せたいな。

ウジウジなんてしてられない。

「こちらこそ、是非とも仲良くして下さい!

全力で頑張りますので。」

「あ、うん。そんな頑張らなくてもいいんだけど。」

「いいえ、全力を尽くします!!」

あたしはそれだけで十分幸せに思ってる。

いつの間にかそう思うようになった。

最初こそ関わりたくないと現実逃避をして

いたものの今やこんなに楽しいと思う毎日を

送れてお腹いっぱいなぐらい幸せに思う。

「あー、何か日和ちゃん可愛いな。」

「ターヤンさん、お世辞の言葉ありがとうございます。

ですが、無理をなさらず結構ですよ。」

「本当のこと言ってるだけなんだけどな。」

「いいえ、自分のことは自分がよく分かってます!

平凡な容姿ですのでそのようなお言葉貰えるとは

思ってもみませんでした。慶詩なんて失礼なこと

ばかり言うものですから最近メンタルは鋼鉄の

ように強度を増しましたので!」

鋼のハートを育成出来たようだ。

「・・容姿もそうだけど容姿のことだけじゃないんだよな。」

「何か言いましたか?」

ターヤンさんは車のキーをくるくる回す。

「日和ちゃん、やっちゃんに送って貰ってくれる?」

「あ、はい。でも、やっちゃんさんお時間取らせて

しまいますが大丈夫ですか?」

「俺のことは気にしないでいいよ。」

「じゃあ、しりとりしましょうね!!」

実はやっちゃんさんとしりとりしたかったのだ。

「ああ、いいね。それじゃあ、行こうか。」

「はいっ!」

あら、でも鞄がまだ学校に置き去りだわ。

「が、学校に鞄があるのですが?」

「俺が届けに行くっ!」

ナル君が可愛く意気込んだ。

「そ、そんなお手を煩わせてしまうのは気が

引けてしまうわ。」

さっき、心配するなと言ったばかりなのに

話を聞いていたのだろうか?

「俺がヒヨリンに会いに行きたいから

行っちゃ駄目か?」

こ、子犬のように潤んだ瞳を向けられて

どうぞと言うしかなかった。