「慶詩、俺には日和ちゃん止められる自信がない。」

※パシッと選手交代した馨君でした。

早速、バシっと後頭部を叩かれた。

しかも、衝撃の負荷は大きかった。

前に転ぶところを踏ん張って持ち堪えた。

「痛いじゃないか、暴力反対!」

「どっからその看板持ってきたんだ野郎。」

「や、野郎じゃないもんね。」

こ、この野郎とあたしが言いたいわ。

後頭部にダメージを負ったじゃないか。

「の、脳に異常が見えたらどうするんだ!!」

あたしの天才的頭脳を叩くとは身の程知らずも

いいところだわ。

「すでに、異常が見つかってんだろ。早く脳外科

で手術してもらえ。」

「異常なんてないんですが?」

どこにと言おうとしたらすごい睨まれた。

「俺にも無理だ。伊織君頼むよ。」

「やめろ、慶詩君に無理なら俺にも無理よ。」

押し付け合いが始まった。

酷い扱いじゃないか。

「ヒヨリン、とりあえずそろそろ帰るか。」

ユウヤが二カッと笑った。

「う、うむっ!」

あ、でも勝手に帰ってしまって良いのか?

チラッと稜さんに視線を向けると微笑みかけられた。

「日和ちゃん、またね。」

「は、はい!!今度は会いに行きます!!」

そう言うと稜さんは微笑んでいた。

隣のちぃ君は未だ不貞腐れているようだった。

そんなに嫌だったのかなと思いながらも、

ちぃ君にも手を振ってファミレスを後にする

ことになった。

やっちゃんさんとターヤンさんとちぃ君と

馨君以外のメンバーが一緒に帰ることになった。

「あ、やっちゃんさん、ターヤンさん。

あたしスーパーに小豆と餅を大量購入せねば

ならなくなったので送ってくれなくとも大丈夫です!」

ここからなら、30分ぐらい歩けばコスモスーパー

に行けるはずだわ。

「いや、駄目だよ。もう暗くなってきたから

送ってかないと頭に怒られちゃうからな。」

キラキラ光る空はもう濃い藍色に染まり、

星の煌きが集い薄らと薄い雲が散りばめられていた。