「危ねーかもしれねぇだろうが。何されるか

分かったもんじゃねぇんだ。極道はお前が

思ってるような生易しいもんじゃねぇ。」

「わ、分からないじゃないか。ちぃ君の

お父さんの稜さんは優しいよ?」

「そんなのお前の前だからだ。」

ちぃ君の手があたしのほっぺを引っ張る。

「いひゃい、いひゃい」

「分かったらもう1人でどうにかしようとすんな。

どこで誰と遊んでても多少のことは気にならねぇ。

けど、勝手に居なくなったら心配すんだろうが。」

「ムー、ムー」

コヤツの手をどうにかしてくれ。

しばらくするとちぃ君の手が離れた。

「あのね、ここ公共の場なのですけども?」

ちぃ君、お主よく恥ずかしげもなくでけたな。

もうそのマイペース加減はしょうがないのかね?

ちぃ君の瞳を見つめた。

「兄ちゃんに怒られたような気分だ。」

ズコッとやっちゃんさんとターヤンさんがコケた。

ムッとするちぃ君にデコピンされて額に恐ろしい

激痛がやってきた。

「ぎゃあああ、額に釘が・・・」

刺さったかのごとく痛いです。

恐るべき、ちぃ君。

怒らすと大変ご機嫌ナナメになるらしい。

「クソ親父、勝手に連れてくな。」

く、クソ親父だと!?

「そんな言葉遣い母さんは悲しい!!」

「お前喋るな。」

「ちぃ君、あたしは心が折れそうであります。」

稜さんがクックッと喉を鳴らして笑う。

「コント見てるみてぇだな。」

「笑い事ではないのですが?」

稜さん、息子にクソ親父なんて言われてるんだ。

怒らねば!!父の威厳がありませんぞ。

「日和ちゃん、無理強いはしない。

ただ、俺の願いになっちまうが、出来れば

こいつらの傍に居てやってくれ。」

極道の親分が頭を下げている。

ただの小娘に頭を下げるほどこの人はみんな

を大切に思っているんだろう。