田中は上條さんはナルシストで勘違いする人だって
言ってたけど、その勘違いするナルシストから女神
と言われて悪い気はしなかった。
「はぁ?上條、そういやおめぇーのこと散々勘違い
したあのヘタレナルシストのことか?」
け、慶詩、酷い言い草だ。
あたしのこともそうだけど、上條さん可哀想な上に不憫だ。
「ヒヨリン、アイツのこと気になるの?」
ナル君のクリクリお目目がキュートだ。
「いや、別に興味はないけど、みんなのお友達だと
いうのにあたしは失敬なことをしてしまったでしょう?
さすがに背負投はやり過ぎたかなと後々の反省事項だ。
菓子折りを持って謝りに行った方がいいのかと考えて」
「あ、それは大丈夫だよ。アイツ、丈夫だからね。
でも、日和ちゃんにはビックリしたかな。」
馨君がクスリを笑って和む。
「そうだよな、ヒヨリン背負投とかよく出来たよな。
ヒヨリンより背あるはずなのにやっぱヒヨリンすげぇーな。」
ユウヤ、あたしそんなすごいことしてないよ。
「ただ、うるせぇーのよん。」
伊織君、また煙草をスパスパして!
「伊織君、持ってる煙草を全部テーブルの上に出すんだ。」
バンバンとテーブルを叩く。
「小姑かよ~」
「小姑でも何でも学校で煙草は駄目よ!
せめて、お外で吸いなさい。」
また、副校長に嫌味言われたちゃうじゃないか。
本当ならば、法律も守ってもらいたいところだけど
伊織君はきっと煙草をやめられないからその内やめたく
なるまで何も言ってやらない。
だけども、委員長としては見逃せない。
「外でならいいのかよ~」
「生活指導部のゴツイ先生が煩いんだから
追いかけられたくないでしょう?」
この前、見つかって追い掛け回されてる男子生徒
見たから注意しなきゃとは思ってた。
「日和ちゃんが居ると助かるね。」
馨君が伊織君を見ながらクスリとまた笑った。
今日は、馨君よく笑うな。
伊織君がへいへいと言いながらポケットで
くしゃくしゃになった煙草を出す。

