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実に驚いて言葉も出なかった。
「何してんだお前。」
聞いたことのある声だなと思って振り向こうとしたら
止められて後ろに居るであろうちぃ君の顔を見ること
は出来なかった。
「ち、痴漢かお主は!!」
ち、近すぎるではないか。
心臓の音が丸聞こえですだ。
ちぃ君の不規則な心臓音にビビって振り向こうと
するも頭をホールドされて見れない。
「ちぃ君、どうしたの?走ってきたの?」
呼吸が乱れて、肩を上下に揺らしているのが
微かに分かって心配になった。
まさか、そんなにお汁粉先延ばしにしてる
ことが不満だったとは・・・追いかけて来るほどそんなに。
「す、すまぬ、明日には・・いや今日中に仕込んで
お汁粉たらふく食べさせてあげるから拗ねるでないよ!!」
抱き寄せられた手は強くて振りほどけそうにない。
「それもそうだ。早く汁粉食わせろ。」
「すっかり忘れちまってすまんね。」
「じゃねぇ、お前何してる?」
ちぃ君、見て分からんか?
お主に引き止められている。
そ、そろそろ暴れてもいいだろうか?
「な、何か、ちぃ君怒ってる?」
声色が不機嫌そうで大魔王降臨しそうだ。
ちぃ君からの返事が返って来なくて
不安になって振り返ろうとしたら右手を
掴まれてズンズン前に進み出してしまった。
「ち、ち、ちっ、ちぃーさん!?」
いきなり、どうしたちぃーさん。
君というヤツは何がしたいんだ?
「てめぇ、ふざけんじゃねぇ。」
ダンディーさんの目の前に仁王立ちして、
怒りを露わにするちぃ君に意味が分からなくなった。
ダンディーさんはさっきからちぃ君を見てたらしい。
何も驚くこともないものの、来ることが分かって
いたみたいな感じにも見える。
ちぃ君を見上げると席を立ち上がってちぃ君に
殴りかかろうとしてビックリした。

