Hurly-Burly 4【完】


ヒヨリンみたいな子はきっとどんなに探したって

見つかりはしない。

妄想してるかと思えば難しい英語だか何だか分からない

本読んでたり、ももっちに漫画の読み方教わってたり、

ゲームはありえないほど強いし、何故か麻雀に混じって

ツモとロンばっかり出してくるやり手だ。

だから、俺たちのようなどうしようもないヤツでも

対等に接してくれるようなヒヨリンだからこそ目を

つけられたら気に入られる。

北も南も東も中央も侮れない奴らばっかりで、

それでもヒヨリンはどんな馬鹿な奴でも見捨てたりしない。

一生懸命助けようと奮闘するはずだ。

俺のピンチの時だって励ましてくれた。

俺たちに対してそうしてくれたように他の

奴らにだってきっとそうするはずだ。

それを不安に思うのは俺の心が狭いせいなのか?

「千治さん、すいませんでした。」

俺はずっと言えてなかったことを言えた。

「ん?何で謝る必要があんだ。」

千治さんはとんでもなく優しい人だ。

駄目な人間ほどその優しさに身がしみる。

「俺、一緒に居たのにヒヨリンのこと守れなくて・・」

それなのに、俺は弱すぎる。

友達1人守れないなんて男じゃねぇ。

「アイツはお前に守れなんて言わねぇだろ。」

「はい。」

「だったら、気にすんな。ただ、どっかで道草

くってるだけかもしれねぇ。」

「だけど、もしも・・・」

「もしもなんてことは考えるな。その時はその時だ。

奪い返してやるに決まってんだろ。アイツを手放す

気なんてさらさらねぇよ。」

「はい!やっぱり、俺もう少し探してみます。

全然疲れてないんでまだ頑張れそうっす。」

「そうか、無理すんなよ。」

千治さんがトップで良かったとずっと思ってる。

俺みたいなのでさえも仲間だと思ってくれてる。

俺はきっと千治さんには頭が上がらねぇ。

入学式の時だって千治さんは何も悪くなかった。

それを副校長がまるでお前がやったんだろうと

決めつけて停学にさせられた。

校長は最後まで停学に渋って待ったをかけて

くれたが、副校長と他の教員に歯が立たなかった

ともっくんが言ってた。