Hurly-Burly 4【完】


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said:美男



ヒヨリン捜索部隊は一時間経ってもヒヨリンの情報が

一つも上がることはなかった。

ケータイが鳴り止まないまま足はクタクタになりつつあった。

『あ、美男、こっちの方面はちっとも手がかりがねぇ。』

総勢何人が動いてんだ?

多分、ありえないほど大量の奴らが1人の女の子探してる。

ヒヨリン、何してんだよ。

「美男、お前少し休憩しろ。」

千治さんと分かれては合流して成果があったかどうか

確かめ合うが今のところ何1つ手がかりが見つからなかった。

どこに行っちまったんだよ。

誰かに酷いことされてなきゃいいけど、無事だって

保証はどこにもないわけで不安だけが残る。

俺たちと関わっちまったばっかりにヒヨリンが

嫌な事されたり傷つけられたら俺たちのダメージになる。

「いや、まだ大丈夫っす。」

早く見つけてやらなきゃならない。

「休め、お前さっき1人で探してたろ?」

「でも、ヒヨリンを早く」

「いいから休め、ぶっ倒れても困る。」

千治さんは俺を責めたりしなかった。

誰も俺を責める人は居なかったけど、

俺が目を離した隙なだけ責任を感じる。

これで、ヒヨリンに何かあったら俺は・・・。

「落ち込むな、アイツはそんな柔じゃねぇ。」

「ヒヨリン、強いっすから。」

俺は知ってる、千治さんがヒヨリンのことを

ちゃんと考えていることに。

こんな日が来ることは予想済みだったはずだ。

だからこそ、千治さんたちはヒヨリンを巻き込まない

ようにこっちの世界のことを曖昧にしか伝えない。

もしも、ヒヨリンが仲間だとしれたら誰が何をして

来るか分からないからだ。

そんな時、ヒヨリンが守られたいかっていうと決して

守られたいって思うような女の子じゃない。

ヒヨリンなら跳ね除けて平気だとか言うような子

だってことぐらい知ってるだろうから千治さん

たちは心配してるはずだ。