Hurly-Burly 4【完】


全力で忘れてもらいたいんだけども。

兄ちゃんが言ってたんだよね。

ひーちゃんは寝相見せないほうがいいよとかなんちゃら。

それって、多分あたしの隠すべきところなんだろう。

「き、記憶を失くせ!」

そんな隠すべきところを見られたとは油断してた。

もう少しかっちりしてた方がいいんだよね。

これからは、もっと隙なんて見せない方がいい。

隙があればいくらでも足を引っ張られる。

だから、隙なんて見せちゃいけない。

「日和ちゃん、無茶苦茶なこと言った?」

馨君、ごめんなさい。

すいません、記憶を失くせなんて言いません。

こ、怖いよ馨君!

怒らせちゃマズイ人ナンバーワンだ。

「寝不足なら早く寝た方がいいと思うけど、

日和ちゃんよく寝る子だってサユリちゃんが

言ってたから。」

サユにいつ聞いたんだ、馨君!

「大丈夫だよ、道端で寝たりしないから。」

そんなことはしませんよ。

「どうだかなー。」

け、慶詩は黙っていろ!

「それより、考え事してる時の日和ちゃんが心配

だなって思ってるんだけどな。」

馨君が困ったように笑うから首を傾げた。

「考え事?」

あたしそんなことしてたかな?

「自分で分かってねぇとかおめぇー何がしてぇんだ?」

そう言われてもね、本当にそんな気はないもん。

「妄想ばっかりも心配だなって話だよ。」

「うっ、すいません。自粛したくてもついつい旅立って

しまうみたいで・・・」

「いいんだよ。日和ちゃんが好きなことをして、

ただ余所見をしている内に事故に巻き込まれたり

しないかなってちょっと過保護だったかな?」

「いや、馨君の言いつけは守るよ!」

わざわざ心配してくれる心意気はきっちり受け取りました。

妄想してばっかりは良くない。

サユにもよく受ける注意事項です。

やっぱり、最近調子乗らないしボーっとしてたら

隙だらけで良くなかったよね。