運転手の人がちらりと視線を向ける。

い、イカツイぞ!

リーゼントヘアーはビックリ玉手箱だ。

生まれてこの方、生で初めてリーゼントを見た。

ドラマや映画では見たこともあった気がするが、

生で見るリーゼントの迫力は圧倒されるものがあった。

ターヤンさんとかやっちゃんさんとか不良

メンバーズを日頃目の当たりにしてるせいか

感覚が麻痺しているのか?

何故か、ちっとも怖くはなかった。

「日和ちゃんは、健かだね。」

「えっ?」

ふとダンディーさんが放った言葉に目が点になった。

「少しも表情変わってないから、ほら運転手が

少しイカツイとか思っても顔に出してない感じが

どうも気になってね。」

「す、すみません、表情が乏しいもので。」

自分ではかなり驚いていたつもりだった。

やはり、あたしの表情の乏しさは日常生活では

不便極まりない代物だ。

「別に責めているわけじゃないよ。ただ、そういう

凛とした子が居るんだと思って関心してるんだ。

あ、そういえば初めて会った時からしたたかだったかな。」

ダンディーさんの横顔を見つめながら苦笑いをした。

「すみません、余計なことをしてしまって。」

「そんなこと一言も言ってない。」

「でも、あの後よく考えてみれば失礼だったのかなと。」

「助かったよ、それは君がしてくれたこと。

俺はね、あまり人に好かれるような人間ではないんだ。」

「えっ!?」

に、人間じゃないの!?

ああ、だからこの世のものとは思えないほどイケメンなんだわ。

どこの惑星からきたのかしら?

宇宙は広いのですかと質問したいわ。

宇宙人って日本にどうやって来るんですか?

UFOをぜひとも見せて頂けないかしら!!

「日和ちゃん、人間ではあるよ。」

「ハッ、す、すいません。申し訳ありません。

もう切腹して誠意を見せますっ!!」

「それは、困るよ。」

ダンディーさんが苦笑いしながら顔を窓の方に

向けてため息を吐いた。