しかし、ダンディーさんハードボイルドな

容姿とは裏腹に少し茶目っ気がある。

「日和ちゃん、少しでいいからお茶しようか?」

あの後、時間をくれないかと言われた後に

そう言われてお茶にご招待されるとは感激ですと

返すと目を細めてニッコリと微笑んだ。

「君は面白いねぇ。」

「そうですかね?ちっとも、自覚がないのですが

どこら辺に面白い要素を持ち合わせてるのでしょうかね?」

「全体的に面白くて可愛いね。」

「か、可愛いだなんて滅相もございませんよ。」

※これでも照れているつもりです。

大人の人にからかわれているわ。

「おじさん、可愛い娘が欲しかったんだ。」

「娘さんですか?」

「家には娘居るんだけど可愛げなくてね。」

「そうなんですか?」

「ちょっと、家柄のせいか男らしくて、

日和ちゃんみたいに和やかな子じゃないから。」

「あ、あたしもそんな和やかではありませんよ。」

父には意味不明なほど可愛がられました。

運転する車が安全運転で道路を走行する。

時々、窓をチラリと見る。

景色がどんどん移り変わっていく中、

どこに向かっているのだろうかという

不安を感じながらこの人は決してあたしに

悪意を持ってる人ではないという自信だけは

確かに持っていた。

何故か、よく分からないけどあたしのほぼ直感

がそう語りかけてくるのだ。

だって、ダンディーさんはハードボイルドなんだもの!

こんなイケメンダンディーさんが悪意満ち溢れる

誘拐犯だった日にはあたしは全世界のイケメンを

敵として見なすよ!!

「あの、どちらの方に?」

「そんなに遠いところじゃないさ。少し不安に

なったかな?」

「いいえ、ダンディーさんがどちらに連れて行って

くれるのかなと楽しみにしてます。」

「そんなに期待されるとは弱ったな。」

黒い髪を掻きあげながら漆黒の瞳が

優しそうに笑った。

こんな素敵な人を疑えるわけがない。