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said:百瀬
『百瀬、ヒヨリンが居なくなった。』
美男がヘタレだとかそういうのを除いて、
声が泣きそうなものだった。
「今、どこに居んだ?
ヒヨリンが居なくなったってどういう意味だ。
全然、状況が分からない。詳しく説明しろ。」
『お、俺が目を離した隙に・・・こんなことに
なるなんて思ってなかったんだよ。』
美男がパニック状態なのか言ってることが
ちっとも分からない。
ただ、ヒヨリンと出かけていたらしい。
『ヒヨリンと一緒にコンビニ行ってたら、
急に居なくなって・・・ヒヨリンのケータイに血が』
「とりあえず、そこら辺探してみろ。
ヒヨリンのことだからジッとしてられなかった
だけかもしれねぇしな。今から、そっちに行くから
気を落とすんじゃねぇぞ。慶詩さんに一応連絡しとけ。」
『お、おうっ。』
美男とのやり取りを終えてすぐ様もっくんの
方を見ると話を聞いていたのか眉間にシワを寄せる
もっくんがどういうことだって言い放った。
「美男と出かけてたらしいヒヨリンが居なくなった
みてぇだ。ケータイが残されてて、それにヒヨリン
のものか分らねぇ血痕が付いてたらしい。」
「えっ、それって・・」
「何らかの事件に巻き込まれた可能性が高いな。
学校近くのコンビニ辺りだって話だから
探しに行かないとだな。」
「もしかして、北地区の奴らだったりしないか?」
「それは、分らねぇ。この間の奴らか違う奴ら
っていうことも考えると早く探し出さねぇとヤバイだろ。」
「そうだな、じゃあここで油売ってる場合じゃないな。」
向かい側に立つのは10人ぐらいの東の奴ら。
もっくんと俺、それから数人仲間は居るが、
あんまり時間はなさそうだ。
もっくんがガタイの大きさを生かした戦闘に
入ったところで、鉄パイプを振りかざした
男を蹴飛ばして転がした。血の匂いが絶えない。
数分後、血反吐を吐いて突っ伏す東の連中
を置き去りにして、バイクに飛び乗った。

