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クシュン。
ソファーに座って盛大なくしゃみをしたのは帰って
きたちぃー。寒いのかまたくしゃみを大きくする。
「千治、風邪でもひいた?」
馨が心配そうにちぃーの顔色を伺う。
「・・・ひいてない。」
眉間にシワを寄せて買ってきたたい焼きを
袋から取り出す。
「気をつけろよ、最近、インフルエンザ流行ってる
みたいだからな。」
馨の言葉にコクリと頷きながらたい焼きを1つ。
「・・・クシュン」
また、続けて2回くしゃみをしたちぃー。
「やっぱり、ちぃー風邪ひいたのか?
暖房もう少し温度あげる?」
心配そうに暖房のリモコンを探す
ナルに首を横に振りながらたい焼きを
口の中に放り込むちぃー。
ちぃーはたい焼きを腹から食べる
のが礼儀だろと意味不明なことを
言ってたことがあるが、今日もその
食べ方で口をもごもご動かしながら、
先ほどのくしゃみのせいかティッシュ
をキョロキョロと探す。
「馨、ティッシュどこだ?」
「慶詩が抱えてるよ。」
「慶詩、貸せ。」
腹を抱えて笑ってる慶詩。
うきゃきゃと笑ってる慶詩に、
ちぃーがムスっとしながらティッシュの
箱を分捕った。
ティッシュを掴みながら、馨に
テーブルに置いてあった湯呑を
ズイっと差し出す。
「今、緑茶淹れてるところ。」
それに、スッと伸ばした手を引っ込めて
ティッシュをゴミ箱に投げてから小首を傾げた。
何か、疑問を感じているらしい。
たい焼きをもう1つ食べながらソファーに
深く腰を落ち着けたちぃーが視線を巡らせる。

