Hurly-Burly 4【完】


でも、不吉によぎるジョーカーに視線を向ける

京の表情に馨が困ったように視線の先を辿った。

「あ、ジョーカー見つかったんだな!!」

最近、見つからないと大騒ぎしていたジョーカー

が見つかったのかナルが嬉しそうに声をあげた。

「おっ、良かったな。」

便乗してユウヤがナルにジョーカーを差し出す。

「不吉だね、京ちゃ~ん」

「殴る。」

「その単語発言やめようよ。」

「伊織がその呼び方やめれば。」

「あのな、京ちゃ~ん。」

殺気立てる京に伊織が煙草を咥えて、

ジッポで火をつける。

カチンという音が妙に響く。

「あいつにそんな心配要らねぇ~のよ。」

「・・・・・・・・・」

「考えても見てみろよ。北地区行って、

頬一発殴られた程度で帰ってきたんだぜ?」

「・・・奇跡。」

「そういうことだ。心配するだけ無駄な話だろ。

行くなっていうところに出向くようなあいつ

を一々心配するほど過保護にならなくてもウチの

自慢のお姫様は賢い上に豪腕で腕っ節はそこら辺

に居る奴らよりは強いだろう~よ。」

煙をふうと吐き出す伊織は穏やかな顔をしていた。

「伊織の言う通り、あいつに余計な心配を無用だろ。

か弱くねぇもんな。ちっとも女々しくねぇし。

男らくて泣けてくるだろ。」

「・・・泣くところじゃない。」

「まぁ、ちょっと心配なところあるけどな。

ヒヨリンに何かあっても俺たちで守れば

いい話ってことだ。京は深く考えてるからな。

あんまり思いつめて考えることねぇよ。

このジョーカーだって大したことねぇだろ。」

ナルがジョーカーをペッとテーブルに叩きつけた。

「京、ヒヨリンなら大丈夫だぞ。京がヒヨリン

を心配するとか珍しいな。」

「・・・そうか?」

「おうっ!きっとヒヨリン嬉しがるかもな。」

ナルの癒しの笑みにその場は穏やかな空気が流れた。

「ナル、プリン買った。」

そして、帰ってきたウチのボス。